名古屋の魅力を発信、SNUG CITY NAGOYAの取り組み。 名古屋はシティプロモーションの先に何を見るのか、僕たちは何ができるのか。

snug.city.nagoya.jp

名古屋市が仕掛けるウェブプロモーション。今回はオウンドメディアを手がけているようで、芸能人だったり地元を知る人と疑似観光をするという内容。浅井健一さんのような名古屋出身で名古屋好きな人へのインタビューが続くのかな。次のインタビューは誰か少し気になります。

しかし、正直な感想は『本当なのか、これ…。コンテンツもデザインも、、』という内容です。一体誰が、どのような時に、どうやって見るのか。そして、なぜこのサイトを見るのか、が設計できているようには思えない。
でもこれって、ウェブデザインやコンテンツを制作している側の問題ではなくて、発注者側、つまり名古屋市が整理できていないからなんじゃないかな〜。

そんな否定的な印象を持ってしまったのですが、僕自身が一番関心があるのは、ページ下部にある「名古屋魅力向上・発信戦略」というPDFです。OTHERと隅に追いやられているけれど、重要な整理がされている。暴力的にまとめると、10年間で名古屋の①イメージ刷新、②愛着醸成、③発信!発信!発信!を行う計画だということです。名古屋市が市民と一緒に発信した先にどんな未来を思い描いているのだろうか。受け取った側は何ができるのだろうか。僕も未来に向けてどんな動きをできるのか考えていきたい。

例えばだけど、ベルリンは2030年までこういう戦略で進めるって方針を発表しています。 BerlinStrategy Urban Development Concept Berlin 2030 (PDF)
続いてこっちはNYCが出しているOne New York The Plan for a Strong and Just City (PDF) です。僕は当たり前だと思うのですが、きちんと目標Visionと手続きStrategyを出している。やりっぱなしじゃなくて、きちんと評価するということですね。名古屋市はたぶん、これ。名古屋市:名古屋市基本構想(市政情報)です。デザインを軸足にもっとできることはあるはずだと改めて認識しました。頑張ろう。

デザインの1, 3, 5, 10年後

年度末は行政関係の仕事が続くため、どうしても毎日があっという間に終わってしまう。日々、仕事をこなしながらこうした日々がいつまで続くのだろうかと考えるときもある。あこがれの建築家やデザイナーと衝撃の出会いをした8年ほど前、彼らは30-35歳でリーマンショック以後のクリエイティブ業界に身を置きながら、なんとか新しいデザインの言語や態度を模索としていた。デザインする状況をデザインすると始めたDESIGNEAST (大阪)、議論の場を設計するLIVE ROUND ABOUT JOUNAL (東京)、今何をデザインしているのか伝えるDESIGNING? (福岡)など、自主プロジェクトを立ち上げて態度を表明し、わからないことに立ち向かいながら議論を巻き起こしていく。SNSの隆盛期とも合わさり、twitter実況やその場で発行などリアルタイム性の高い情報環境が設計され、僕自身も議論の輪が広がっていくのを肌で感じていた。
そして、その時に感化された学生たちも30代を迎える。私も今年30歳になる。置かれた状況はかなり変わっている。私たちの世代は氷河期の再来、大学院へ進学しても就職率は低く、特にスーゼネや大手広告代理店へ行く同級生は数えられる程度だった。今ではオリンピックや地方創生によってばらまかれた文化予算が潤沢となり、クリエイティブ業界は今では新卒採用に躍起になっている。そんな未来はいつまで続くのだろうか。

1年後、2018年。東京オリンピックまであと2年、主要都市の建設ラッシュはまだ続く。インバウンドによって宿泊施設は増え、民泊の法整備が進む中、リノベーションなど投資物件も増加が予想される*1。地方の情報を第三者が"良い感じ"に伝えるローカルメディアが更に増え、ローカリティが抽出されたクオリティの高いお土産が増えつつある。

3年後、2020年。東京オリンピックが開催され、国内は特需。前後3ヶ月はオリンピックついでに日本を訪れた観光客がいろいろなところを訪れ、国民の宿泊や移動に影響が表れる。旅行・文化・歴史フリークスによって、日本人が忘れてしまっていたようなエリア、モノ、人柄などが再び脚光を浴びる*2。自分で作って自分で売るといった小商いを試みをする兼業デザインナーが少しずつ増え、議論の場はさらに縮小する。

5年後、2022年。地方創生・文化予算が縮小され、元気だったNPOや広報は市場を刺激しようと試みるも財布の紐が固くなっている。ゼネコンは海外へ仕事を求め、英語を使えるデザイナーもソーシャルデザインやマーケットを求めて途上国に。国内で不満と焦燥に駆られた若手デザイナーらが自主的な企画を立ち始める。国内か国外か、行政か企業か。小商い系など第3の道について。

10年後、2027年。シンギュラリティを経て、AIがクリエイティブ業界に本格参入。○○なデザインはプログラムで起こされ、文字詰めや微妙なズレを直すオペレーターとしてのデザイナーと独創的なスターデザイナー。スターとオペレーターの間にいたローカルデザイナーがどんどんプログラムに置き換わっていく。Adobeがデザインのソフトウェア会社からAIを用いたデザインのサービス会社へ。プログラムのオンとオフをするだけの自称デザイナーがボタンプッシャーと呼ばれる。人間が人間のためにデザインする道理を探求するデザイナーが表れる。


このストーリーはあまり嬉しくない未来だが、完全に無いと言い切れないのが怖い。こうなるかもしれない(最悪な)未来の中で、デザインリサーチャーとして僕は何ができるのか。これまでにカバーする領域とみなされていなかった領域に目を向けること、これに尽きる。これはデザインリサーチャー自らがグラフィックやウェブをデザインしようということではない。紙とかウェブと行ったオブジェクトでない、福祉や金融などのサブジェクトに目を向けるということ。拡張される体験のデザインを更に広げ、具体化させること。そのために知らなかればわからないことに目を向ける。

身の回りのことを知っているつもりで仕事をしているとあっという間に活躍の場はなくなる不安と向き合いながら。

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*2:e.g.) 海外反応! I LOVE JAPAN  : 外国人女性「日本のカプセルホテルに泊まってみたよ!」 海外の反応。 http://blog.livedoor.jp/zzcj/archives/51929418.html

寛容性で実現する フィンランド発"(許可なし)ワンデイ・フードキャラバン" レストランデイ

フィンランドで楽しい経験のひとつ、1日限定誰でもシェフになれるレストランデイ。路上だろうが、軒下だろうが、自分の部屋だろうが好き勝手にどこでもレストランを開くことができるイベントという活動。恐ろしいかもしれないけれど、ゲリライベント発なので許可なし。とはいえ、自己責任のもとでみんな楽しんでいる。

アールト大学の友人の中には凝って出店している人もいれば、路上で家族や友だちとBBQかなっていうレベルまであるのだけど、街の雰囲気がとても明るくなる。日本人ってだけで、「おい、寿司か?ラーメンか?」と聞かれたことを思い出した。結局出店していないんだけど。

2012年には東京でも開催していたけれど、今はどうなってるんだろうとめちゃくちゃ久しぶりに調べてたら、留学中は年4日開催だったのに2016年からは5月は毎日レストランデイ。1ヶ月となると商業的な匂いがしないでもないけど、あちこちで発生するからそれもいいかもしれない。

とはいえ、日本でやるにはやっぱり規則が重くのしかかる。路上だろうが家だろうが許可がないと罰金。条例でこの日だけは許可なしだから自己責任だよってできないものなんだろうか…。現在もフィンランドで出店時に必要なものは①地図サービスのアカウント、②イベント(出店)情報の記述、③登録のみだそうだ。片目をつぶってくれているということらしい。

タクティカル・アーバニズムもそうだけど、日本の法律はよくできているので解釈を楽しまないと路上での実践が難しい。社会実験という手口で製造許可を持たないレストランデイはできるのかな?もっと考えないと厳しいのかも。東京の人たちはどうやってるんだろうか、聞いてみたい。

追記
日本では、食品衛生法21条において営業許可を取得しないと自宅、店舗、路上であっても基本的には販売できず、これがハードルとなって調理の手腕を震えない人が多い。特に厳しいのが設備面で、家庭と営業用は分ける必要があるのでお金も当然かかってしまう。とはいえ、法律が施工されたのが戦後の昭和28年で、たしかに衛生面では今よりもずっと不安な時代。メーカー必至の努力で衛生設備が整えられ、食中毒事件は平成11年から平成27年で約半数にまで減少している。
地域資源を活かした食品開発やイベントを実施する上で、設備のハードルは非常に高い。いきなりすっ飛ばして許可無しで調理販売可能は難しいだろうが、家庭の調理環境でも製造許可が降りるような規制緩和の方向に向かうことはできないものなのだろうか。
食品の製造、販売、処理業の許可・保健所


参考リンク:
www.visitfinland.com

Every day is Restaurant Day now
Every day is Restaurant Day now
2016年5月から毎日開催になったよという流れを創始者のコメントと投稿しています。

関連投稿
pnch.hatenablog.com


参考書籍:

Tactical Urbanism: Short-term Action for Long-term Change

Tactical Urbanism: Short-term Action for Long-term Change

Streetfight: Handbook for an Urban Revolution

Streetfight: Handbook for an Urban Revolution

Uneven Growth: Tactical Urbanisms for Expanding Megacities

Uneven Growth: Tactical Urbanisms for Expanding Megacities

2016年に読んだ本まとめ

2016年は目標だった年間50冊をクリア。100冊を読むには息抜きの時間を減らすしかないのかなぁ、、

それと論文は国内のものを10位読んでいたかな。こちらもこうやって公開できるといいのですが。

 

2016年の読書メーター
読んだ本の数:60冊
読んだページ数:16216ページ
ナイス数:53ナイス

ポートランド 世界で一番住みたい街をつくるポートランド 世界で一番住みたい街をつくる
読了日:12月2日 著者:山崎満広
ひらかれる建築: 「民主化」の作法 (ちくま新書 1214)ひらかれる建築: 「民主化」の作法 (ちくま新書 1214)
読了日:12月1日 著者:松村秀一

 

 

 

 

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明けましておめでとうございます。2017年にやらないこと、やること

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 

あっという間の2016年、2015年からの関わりが2つ実社会に還元されました。1つは、グルテンフリーのカフェ コルポのオープン。1つは、有松絞りの製造業におけるファブリケーション設備の導入による商品開発です。あくまでも動き出し。2017年はこの動きを高めて事業のサポートをしていきたいと考えています。

 

2017年は気持ち新たに、辛抱強く学ぶ年にしたいです。そのためにもやらないことは3つ。

①焦って結果を求めない

②自分で抱え込みすぎない

③仕事と学習のバランスを見誤らない。


そしてやることは、

⑴ 理論と実践を架橋すること→もっとテキストを書いて情報発信を

⑵ 自ウェブの刷新を→事例紹介をわかりやすく、DRerのウェブについて考える

⑶ 新たな協働ネットワークの構築→相談から事案へ。「ともに」つくる関係の強化。

 

2016年末は環境が変わることを予感させる出来事が多々ありました。事務所として間借りする建物の一部が観光案内所となることや連続した交通事故も。一方で、まだ正式に発表できないような良いことも急に飛び込んで来ました。何かと当たり月だった師走を引き続き、2017年も新たな良い出会いに「当たる」ことを期待しています。