思考

誰のものでもある場所を見つけに-裏輪呑み@京都

先日、京都 木屋町周辺で開催された『裏輪呑み』に参加してきた。入れ替わり立ち替わり総勢20名超が参加した野外飲み会と片付けるにはもったいない経験だったので記録しておこうと思う。そもそも『裏輪呑み』とは、「新しい骨董」のメンバーらが「浦和」で10…

30年後から考える伝統工芸

2045年、少子高齢化の進んだ日本国は、細やかな気遣いと地域間の分業によって築き上げた輝かしい時代の産業から遠くの世界に届いていた。これまで1から10の段階を経て仕上げたものを製品と呼んでいたものづくりから、1から6で戦略的に途中でやめるものづくり…

オープンスタジオを終えて

個人事業主として登録してから5月で丸2年となる。その節目に先駆けて2016年4月17日に借りてから半年以上経った有松の事務所でようやく事務所開きをすることができた。一緒に事務所を借りるグラフィックデザイナーの武村彩加さんと我々も活動するARIMATSU POR…

メタデザイン: 対話のためのアイデアワークショップ

原研哉や藤村龍至は予てから、デザインをデザインすることにより、これまでに見られなかった共創や創発といった他者性の獲得を目指したデザイン言語を目指してきた。学術的な領域では『デザインを支援する環境をデザインすること』を「メタデザイン」と指し…

プロッタとチャコペンで消える下絵を描く

《用意するもの》silhouette CAMEO 2silhouette CONNECT(米国版サイトからダウンロード購入)ボールペンプランジャーチャコペン、または青花ペンコットンの布シルエットカメオ2にAdobe Illustrator CC2015から吐き出すことができるsilhouette CONNECTを購入し…

『居座り続けるための設え』としてのリノベーション

国土交通省が定めた指針によると、空き家とは居住など定常的に使用されていない状態が1年以上続いた建物であるという。物置として使用していようが、イベントで1日2日貸していようが、使用者がいない限り、その建物は空き家として認識されてしまう。文字通り…

デザインリサーチャーへのインターンとは

本日は春休み期間中にインターンとして事務所に来ていた学生3名と打ち上げに。昨年度は秋の平場と春休みの二回、実験的にインターンの受付をしてみました。それまで、バイト的な手伝いで来てもらったことはあるのですが、継続的な取り組みは今回が初めてです…

(1)デザインリサーチャーという働き方がわかる書籍

デザインリサーチャー、デザインリサーチと耳慣れない言葉。「デザイン+リサーチ=デザインリサーチなんでしょ。」と思っている方やデザインや建築を学んでいるけどデザインの根拠を探すことに迷いがある方、また逆にマーケティングや教育を学びつつデザイン…

デザインリサーチャーとして働きたいあなたへ

AXISでデザインリサーチが特集された2000年のvol.88、そして、アドバンスト・デザインリサーチととして元RCAのアンソニー・ダンが特集された2009年のvol.142が発行されてから、すでに15年以上の月日が流れています。まだ「デザインリサーチ」という活動や「…

TOKONAME HUB TALK vol.4 トコナメ建築話 を振り返り

2016年3月18日、会場は普段ギャラリー・カフェとして運営されている『TSUNE ZUNE』で開催されTOKONAME HUB TALK vol.4 トコナメ建築話に参加してきた。ゲストは普段関西を拠点に活動する3組の建築家、木村松本建築設計事務所の木村吉成さん、田所克庸建築設…

伝統工芸に対するオープンデザインの試み

日本中に多々ある伝統工芸のいくつかは藩の政策に関連して発生している。有松では山賊による被害が膨らみ始めた頃、松丘だった地帯を切り開き、人を住まわせたことに起因している。農作物をつくれず、宿場町の鳴海があるた宿としても繁盛せず、お土産をほそ…

デザインリサーチを体験する「カレーライス」ワークショップ

「デザインリサーチとはなんですか?」と聞かれることから、私の自己紹介が始まります。「文脈の理解と物語の構築をすること」と返答することもありますし、「言葉にならぬ『当たり前』を見つけることから始めるデザインです」なんて説明をする場合もありま…

ofからforへ、モノからコトへ

先日、名古屋造形芸術大学の卒業制作展を訪れた。初めてこの大学の卒業制作展を伺ったのだが、非常に細かくコースに分かれて(デザイン系だけでも5つくらいあったのではないか)いたことに驚いた。そのコースわけとはいわゆる空間デザイン、工業デザイン、ビジ…

産地から見えるもの

有松の染工場に関わり始めて約2年、2016年は丹後ちりめんの機屋さんともお仕事させていただいています。どちらも和装文化が斜陽になり、次の展開を考えなければいけない時期になっています。特に課題なのが分業体制による生産エコシステムの崩壊が少子高齢化…

街へのまなざし

先日、ARIMATSU PORTAL; PROJECTの活動について、ようやく有松でお話しすることができました。名城大学の柳沢先生よりお声がけいただき、「なぜ有松なのか、街へのまなざし」というテーマです。プレゼンの中で私たちの活動は、有松に根付く「ものづくりの文…

ワークショップに流れる時間

参加している時間はあっという間なのに、その準備や段取りにかける時間はその比じゃないのがワークショップだ。いかにシャープなら目的と課題を設定し得るのかは、検討材料を集めるところから始まっているため、テーマの凡庸性と深度には細心の注意を払う必…

忙しさの中に

年越しをしてから毎日毎日見つめるものがある。モニターの中にある文字や写真の情報だけでなく、京丹後の機屋と取り組む素材作りの実験、少しずつ開業日が近づく障害者福祉とお菓子屋さんの取り組み、行政や大学など公的な機関とのメディアづくり。羅列する…

2015年にできたこと・できなかったこと

今年は1月4日から働き始めていたので、「明けましておめでとうございます。」という記事も更新することなく始まってしまいました。昨年は年始に目標を立てた記事を立てていたので、今更ですが答え合わせです。pnch.hatenablog.com 2015 やらないこと■週7勤労…

落ち葉から見える街の流量

3ヶ月ぶりに東京を訪れた。クリスマスムードが漂うこの街はいたるところにツリーや電飾があり、とても賑やかだ。街ゆくカップルの楽しそうな表情や週末にもかかわらず厳しい表情で身をスーツに包んだサラリーマン、カメラを片手にシャッターチャンスを全て押…

ゲリラ公園ニストと緑地公園の再開発

周りに話すと「何それ?!」と驚かれることが多いのですが、僕は幼稚園や保育園のように施設で教育を受けるのではなく、緑地公園を根城に走り回る日々を過ごしていました。それぞれのお母さんに見守られながら原っぱでお遊戯をしたり、大きな木に登ったり、…

多様性を取り込む装置としての冠婚葬祭

民族学的な視点から書かれた冠婚葬祭の書籍を読んでいて面白かったのは、江戸から明治にかけての日本人は7歳から88歳までが「人」で、それ以下もそれ以上も「人ならざるもの」という意識があったということ。人の形をした得体のしれないものの社会と人の…

農業×建築 M式水耕栽培研究所探訪

愛知県で農業×建築を自主的に研究されていた研究会メンバーの一人である栗本真壱さんにご紹介いただき、建築家・村田豊氏が設計に協力されたM式水耕栽培研究所を見学してきました。名古屋駅から20分ほどにある愛知県弥富市にあり、社長はオランダから水耕栽…

10万都市のあり方を探して:瀬戸市探訪

昨日は瀬戸市役所の方にご案内いただきながら尾張瀬戸駅近辺を散策してきました。人口13万人が微減するこの町に発生する空き家利用を考えるための素材集め。磁器で経済的に発展した町の一端を見えることで、産業とまちづくりが密接に結びつく愛知県の面白さ…

デザインリサーチャーの1年目を振り返る

1周年に向けて昨年の仕事を振り返る。どこかに所属して働きもせず、2014年5月1日にいきなり独立した僕にまとまったお金の仕事など来るはずもなく、訳の分からなさを武器に「デザインリサーチャーです。」と半分真面目に半分冗談で答えてました。それでもこれ…

アート化セミナーの資料『はじまりを捉え直すためのデザイン』を公開しました。

2015.2.22に奈良県にある社団法人たんぽぽの家が主催する「アート化セミナー」の<工程をデザインする>セクションで、poRiffの薮内都さんとUMA/ design farmの原田祐馬さんとお話をしてきました。その際に僕がプレゼンで使った資料を下記に公開します。 は…

障害者とのものづくり、工程をデザインするpoRiffの取り組み

本日はたんぽぽの家が主催する『アート化セミナー』にてpoRiffの薮内さんと「工程をデザインする』パートでプレゼンをし、UMA/ design farmの原田祐馬さんも交えてのクロストークに参加しました。poRiffの話が非常に面白かったので、ツイートを元にメモをば…

街とブランドの調度良い関係、「FAMILY OF NIESSING」展 名古屋にて

ジュエリーブランドNIESSING(ニーシング)の本社があるドイツ・フレーデンの街やそこで働く人々の姿を写真に収めた本展が名古屋・伏見で開催された。展示に合わせて写真家の濱田英明さんと本展示ディレクターの岡田栄造さんのトークイベントも2015年1月23日…

2015年にやること・やらないこと

1年の計は元旦にあり。すでに元旦は過ぎているけれど、100個も書き出さないのでどうにすべりこませて欲しい。 やらないこと 週7勤労、2日以上の徹夜 喫煙 経営コンサルきどり 2014年も注意をしていたのであまり週7日勤務した月はなかったと思うけれど、長期…

2014年に読んだ本まとめ

あけましておめでとうございます。本年も定例化され始めた「読んだ本まとめ」から始めたく思います。 今年はフリーランスとして仕事を始めたこともあり例年に比べて読書量が下がってしまいました。春先と年末にまとめて読み進めた書籍が大半を占めており、社…

続「仕事をしない日」シャツが出来るまで。

「え、パンチくんって2コ下だったの!?3歳くらい年上だと思ってたわ!」今年に入ってからこのやりとりが3回ほどありました。老け顔の星に生まれた私は、思い起こせば、中3の15歳から社会人と間違えられ始めたのです。大須や矢場町へ買い物に出かけると「今…