自分が関わる企画の運営ガイドライン草稿(未満)

  1. 登壇者の過半数が男性ないし優位な権力のある人物で固められていませんか?
  2. 登壇者の過半数が年長者または優位な地位にいる人物で固められていませんか?
  3. 登壇者の過半数が運営者の代弁者または共通の思想で固められていませんか?

 

まずは以上の3点から見直そう。

登壇者だけでなくてホスト/ゲスト的な意味を含めた言葉に置き換えたい。何がいいんだろう。

IDENTITY Academy vol.2 「地域の企業が未来を見据えたビジネスの種まきをするには」に登壇しました

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IDENTITY Academy vol.2 地域の企業が未来を見据えたビジネスの種まきをするには

IDENTITYが主催するセミナーに登壇し、新規事業開発に向けた教育プログラムについてお話いたしました。

ide-academy-04.peatix.com



中西金属工業で新規事業開発のための特任組織を任される長﨑さんからは、製造業ならではの組織文化を乗り越えるために、内部のニーズとシーズにあえて頼らず、外部リソースをもとに新しい製品をローンチし、グロースしようとしているのかお話されていました。

名古屋のバスケチーム、ドルフィンズマーケティングを担当される園原さんは、カスタマージャーニーマップなどを使いながら顧客が離れてしまう瞬間をどう避けることができるのか検討し、より楽しんでもらえるための施策につなげようとしているのかという話がありました。

異なる内容でしたが組織内部の視点から語られる事業開発に僕は触れることが少ないので、組織文化との衝突や、ユーザーリサーチなどの不理解などを乗り越えた話は頭の下る思いで聞いていました。苦労話に回収するだけでなく、きちんと成果を達成しているのが本当にすばらしいです。

わたしはIDENTITYさんと取り組んだ、新規事業開発のための教育プログラムについてお話しました。スムーズにプロジェクトを進められるために必要な基本スキルや思考のフレームワーク、プロジェクトへ臨む態度、そして、会社理念をどのように解釈して新規事業開発をおこなうのか。そういうことを考えるためのスターターキット的なプログラム内容になっています。スライド資料を公開していますので、興味のある方はぜひご覧ください。


こうした取り組みや成果が少しでも東海圏の経営層にも届き、未来をつくる事業開発のきっかけになれば幸いです。


登壇資料はこちらから:
docs.google.com

文化人類学者・小川さやかさんから学ぶリサーチとの向き合い方

昨日は、MTRL KYOTOでリサーチ勉強会『不確実さと対峙するためのツールボックス 第1回 「境界線の創造力」』で文化人類学者 小川さやかさんのレクチャー拝聴してきました。アフリカ・タンザニアで「その日暮らしの露天商」を対象とした研究をされていた小川さんの書籍を読んでいたこともあり、文化人類学を援用する歴史を持つデザインリサーチを実践する身としてとても楽しみにしていました。ずる賢くもあり、茶目っ気もある狡猾さ(ウジャンジャ)の話がそれとしてめちゃくちゃ面白いのは言うまでもなく、フィールドワークへ出る際の下準備や調査シミュレーション、モードの切り替えなど、得るものがたくさんありました。


文化人類学が切り取るオルタナティブでもありどこか身近な社会
文化人類学のように長期間フィールドへ滞在する事で見えてくる顕在化されていない社会の片鱗は、身体にこびりついた私たちの社会常識を削ぎ落とし、改めて人間とは何なのかを考えるきっかけを与えてくれる学問であると改めて再認識しました。タンザニアの事例のように生きる術と生きる糧を身に付けた露天商がずる賢く人を騙したり、そっと誰かを助けてあげる優しさは、どこか非日常的な人情劇のようでもありますが、私たちの生活でも経験したことがあるような気もします。日本において、最新のテクノロジーやサービスを利用して生活している私たちではありますが、遠いアフリカの話からSNSクラウドファンディングを思い浮かべてしまうような事例も。


創造行為もまた対象とするデザインリサーチ
研究の内容や実践をとても興味深く拝聴した一方で、デザインリサーチとは少し異なる視点があることもわかりました。1年以上フィールドワークへ出る研究に対して、クライアントワークで3ヶ月以上のデザインリサーチは、金銭的・納期的な理由で理解が得られることはあまりないのが実情です。プロジェクトについて話をすると、「3ヶ月もリサーチにかかるんですか?」と言われることもしばしば。フィールドノートの作成、映像や音声を分析、後から追いかけようとすると作業時間が倍々に増えてしまいます。また、仮に1年以上フィールドへ赴き、新たな新規事業創出をしたとしても事業の成功が確約されているわけではないため、クライアントが長時間のリサーチを不安がる気持ちもわかります。その際に、デザインリサーチでは、短期間のフィールドリサーチで得られた洞察を言語化し、プロトタイピングを通じてすぐに検証していきます。この繰り返しにより、実社会とのコンフリクトを少しでも早く理解し、より効果的なあり方。省察的にリサーチしていきます。このように、デザインとリサーチを切り分けて考えるのではなく、「デザインを通したリサーチ」を行い、デザイン自体もまたリサーチの対象としてフィードバックを得ていくこと。フィールドワーク→プロトタイピング→フィードバック→ワークショップ…と繰り返し、課題と可能性を実証・改善していくデザインスプリントリーンスタートアップなどの手法を用いていくことが、デザインリサーチと文化人類学との異なる点だと考えられるかもしれません。


オルタナティブな社会を描くための日常的な思考の必要性
デザインリサーチにおいて、現実の社会を切り取るだけでなく、試作的なビジョンも描くことが求められるため、オルタナティブな価値観に躊躇なく踏み込む姿勢も大切です。小川さんはのレクチャーでは、日常でふと疑問に思う小さな事象を記録してみたり、自分も実践してみたりする研究者の立場で『実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方(岩波書店)』を参照しながら、誰もが来るオルタナティブな社会に臨む姿勢を培う「アナキスト準備体操」が大切なのだと話されていました。 不確実な社会を省察し、未来のビジョンを掲げ、より具体的なシナリオを描き、さらにそれをまずは実践してみる。そして、それらを全て省みる。リサーチャーとしての視点と当事者としての視点など、複数の人格を使い分けながら、オルタナティブな社会を記録していく文化人類学者という職能はなんて挑戦的なことでしょうか。 ベテランの文化人類学者がいつまでも他者としてフィールドへ出向くように、デザインリサーチャーもまた経験や勘をかなぐり捨てて毎回初めての時のように臨む姿勢は大切だろうと再認識しました。その上で、私たちデザインリサーチャーがプロジェクトのたびに培ってきた勘や経験を表出していくこともまたとても重要な事ですね。

次回は全盲文化人類学者!?のレクチャーを検討しているようなので、今後の展開がとても楽しみです。

都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―

都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―

人口爆発、食糧危機を迎える2050年に先駆けて昆虫食〜セミ〜を今年も食べてみた

有松美食倶楽部、通称ABCへようこそ。今夜の食材は夏の風物詩、そう「セミ (cicada)」だ。特別にオーソドックスに「アブラゼミ」、大きくて香ばしさが増す「クマゼミ」、小さくて柔らかな「ニイニイゼミ」を用意させてもらったよ。朝から昼にかけて養殖場、大高緑地公園で採れたばかりのフレッシュな食材さ。

調理方法は単純だ「煮る→割る→揚げる→味付け」という手順。昨年はセミチリとセミマヨを用意したけれど、今夜も食材の味を楽しむために「素揚げ」、新たたに柔らかい衣で包んだ「天ぷら」と食材とのハーモニーを楽しむ「かき揚げ」を用意したよ。素揚げはセミの香ばしさを引き立て、芋のようなアーモンドのような風味を感じることができる。たしかに殻の付いたエビのようでもあるね。

おっと、お嬢さんたちにはもちろん甘いものを用意したよ。素揚げしたセミに塩コショウの代わりに、シナモンシュガーを振りかけたこいつはいかがかな。スナック感覚でサクサクいけるだろう。シナモンとセミの組み合わせは、思った以上に食欲をそそるね。さらにさらに、食後に用意したのはブラックチョコレートでコーティングされたセミを乗せたバニラアイス。冷やしたことでアーモンド風味が強調され、チョコレートとアイスの組み合わせも最高だ。

どうやら皆さん、ご堪能いただけたようだね。素揚げしたときにはあまり感じなかったセミ自体の味も、調理方法や素材の組み合わせを変えたことでかなり感じられたようだ。チョココーティングとバニラアイスの組み合わせで引き立たされた、セミが持つアーモンド風味は本当に想像を遥かに超える美味しさだ。

お腹の鳴る音が聞こえたようだが、次年度の開催を待って欲しい。次はもう少し調理を楽しんで見ようと思っている。酸味と合わせた南蛮漬け、爽やかに大根おろしと合わせて、大葉とチーズの組み合わせはどうだろうか。おっと、早くも来年が待ちきれない方々ばかりのようですね。申し訳ありませんが、少々お待ちください。それでは次回まで、ごきげんよう。(画像は続きを読むから)

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STOCK YARD ARIMATSU トークを振り返る

先週末は名鉄百貨店内にあるOpen MUJIで、出張PORTAL; SALONを開催しました。
#10 ゲストの武馬 淑恵さんからは名古屋市職員として関わるなかで、産地の魅力を一回性の高い(観光、経済振興)のための商品として取り扱われていることに気がついたと言います。一念発起して大学院でテキスタイルデザインの研究を行い、地域のお祭りで着る自分だけの法被を製作するワークショップを元銭湯で開催。「ばをひらく」ことを通じて、持続的に産業や伝統との関わりを地域に設けるプレイヤーになった経緯をお話いただきました。観光、暦まち、文化推進だけでなく、行政区分を超えた協働がこれからの課題であることが実感できました。
翌日の#11 ゲストである森田 一弥さん、 柳沢 究さんからは「まちをひらく」ことについて、有松や京都を下敷きにお話いただきました。名城大学として有松に関わる柳沢さんからは、物理的、社会的、経済的、人的な「まち」をひらくことで、継承、循環、刷新といった異なる時間軸の流れを引き受けるのではないかいう指摘がありました。共存する時間の差異に、リンチが指摘する都市の豊かさが現れるというお話はまさに有松や京都の特徴を言い表しているようです。また、森田さんはさらに解像度が高く「素材をひらく」ことについて、インテリアやリノベーションといった自作作品の解説から、まちへの関わりしろをラディカルに取り組む姿勢についてお話しされていたように感じました。建築のファサードが垂直に歴史が積み重ねられる欧州に対して、水平な(手前から奥へ)層となって現れる日本の建築。部分的な解体や修繕を通して時間の経過を肌で感じ、現代的な時間、技法、素材を組み合わせて再構築を行う。これにより複数の時間が同じ空間に流れ、メディアとしての建築が発するメッセージをより読み取りやすくなるようです。
三者のゲストからは、「複数の時間」を体感することができる空間あるいはまちである有松において、持続的に「よそ者の関わりしろ」を広げる取り組みを実施するための「政策の整理と統合」が『まちをひらく』ために必要であるとまとめることができるのではないでしょうか。今後、私たちの活動にも大いに参考にさせていただける知見だと実感しています。
ご参加いただいたみなさん、ゲストの皆さん、会場のご提供をしていただいた無印良品の溝内さん、井野さんに改めて感謝申し上げます。
なお、トークイベントは終了しましたが、月末の29, 30に開催するワークショップにはまだ若干の余裕があるようです。まさに、先の話を実感できるだけでなく、素敵なあなただけの無印良品絞り染めをつくることができますよ!お申し込みは下記のリンクからどうぞ。
無印良品 名古屋名鉄百貨店「名古屋発を応援しよう 『有松を知る。』Vol.2」 | イベント予約 | 無印良品
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