産地応答/応答産地

AI(特に大規模言語モデル)が驚異的なスピードで発達するなか、超共創的なデザインリサーチのプロジェクトとはなにかを考えないといけないですね。

社会に出てから情報科学の世界にはやんわりとアンテナは張っているものの、プログラミングなんてほとんど触っていなかったですが久しぶりにPythonを勉強して、僕からしてみればまだブラックボックスとも言えるライブラリーとデータセットを使っていろいろ試していました。

Colabで実験したchatGPT-3.5-turboはきちんと伝えたつもりでも中途半端な回答しか来なかったり、物体検出プログラムYOLOは検出してくれるけれどその先はこっち次第だったり。彼らはお付き合いの仕方がとても純粋です笑

地域や企業の課題に対して専門家として入って意見をもらったり、データ分析をともに進めたり、異なる手法で同時にデータを見たりすることがすでにできるようになりつつあります。適切に定性調査と定量調査を選択し、少ないメンバーでも人力とAIで共創し、測るだけでなく継続的に実施し、コミュニティとして適切なスケールにしていくことはまだ人の手に委ねられているとはいえ。

名古屋市という大きな都市で生活をしている一方で、有松という工芸の産地を拠点に活動していると、物事を異なる軸で捉えるようになってきました。ものをつくる時間も、人の経験も、手にする素材も。残されている時間があと何十年あるのかということも。

ますますと少子高齢化や資源枯渇が進む中で、人以外の生物や知能とも付き合い、必要なマテリアルを循環するように生成し、あたたかみのある活動をできる体制を産地に整えることを「産地応答」と、そのようなプロジェクトが動き続ける場を「応答産地」勝手に名付けてみようと思う(ティム・インゴルドに触発されながら)。ポスト人新世時代における産地の営みについて考えながら、プロジェクトの企画を考える夜。

StrongSORT-YOLOを使って生成したgif

絞り染め産業と環境負荷について考えたい

2009年の研究結果[*1]で淡水汚染の20%が染織産業によるものだと指摘されてはや10年が経とうとしている。綿花の生育や自然化学問わず染料の改良、あるいは資源の再利用など、それぞれのセクションがサーキュラーソサイエティ(循環型経済)の実現に向けた取り組みを始めている。とくに大きな資本を持ち、設備や新たな人材への投資が早い企業は、惑星レベルの問題解決に向けて責任を果たそうとしている。一方で、この問題をマーケットレベルに矮小化して捉え、単なる覇権争いの手段のひとつとして捉えている企業があるのもたしかだ。具体的な期間を指すわけではないが、サスティナブルなものづくりをどうやって実現すれば良いのだろうか。

 

有松は400年以上続く伝統工芸絞り染めの産地だ。知多から移住したものが持ち込んだ木綿を、他所から学んだ藍染を施したのが始まりだ。天然染色からはじまった絞り染めも、今ではさまざまな化学染料を用いるようになった。防染によって柄を生み出す染色技法のため、時間のかかる天然染料よりも短時間ではっきりと色が出る化学染料と絞り染めは相性がいいのだ。また伝統工芸の産地としては珍しい2次加工産地であることから、綿や麻といった天然繊維だけでなく、ウールや皮といった動物性のテキスタイル 、ポリエステルやナイロンなもどの化学繊維まで手広く加工をしている。特定の繊維だけを扱っていない有松において、化学染料の開発は産地の発展とも大きく関係していた。

 

そこで今、課題となるのが絞り染めと環境問題の関係だ。地形上、地下水が豊富とは言え、浸染は加工に大量の水を必要とする。たしかに産業規模を考えると繊維産業の中でも、有松・鳴海絞りが与える環境負荷は微々たるものだろう。環境問題に対する投資先として後回しにされるエリアなのは間違いない。ただ、日本遺産や重伝建地区に選定されるなど、地元の誇りが環境汚染のきっかけであるというのは随分と複雑な感情だ。染織の生産工程を見直しつつ、経済的にも環境的にも持続可能なやり方を目指せないだろうか。

 

そのためにいくつかの方法がある。まずなにより今の状況を、環境アセスメントの観点から評価することだろう。どれだけの環境負荷が起きているのか、誰も適切に捉えられていないのが現実だ。その上で、川上の生産工程や素材の見直し、あるいは素材の再利用を積極的におこなう仕組みづくりをするのがいいのではないか。環境アセスメント評価は具体的な数字は分からないだろうが、仮説的な計算式が分かるだけでもまずは十分なはず。大学への強力打診が必要になるかもしれない。素材や製品の再利用は、リサイクルセンターへ分類と収集を依頼することから始められるだろう。まずは綿100%の素材の衣服などを集めたり、再生コットンの商品を積極的に使うのもアリだ。再生コットンと廃棄染料(いろいろな色が混ざって黒くなったやつ)で商品をつくれないだろうか。商品としての流通には時間がかかるかもしれないが、まずは体験やツアー事業でこの価値を共有できるように挑戦してみたい。

 

 

[*1] Raybin, A (2009), Water pollution and textiles industry as cited in The Sustainable Academy (SFA) and The Global Leadership Award in Sustainable Apparel (GLASA) (2015), The State of the Apparel Sector – 2015 Special Report: Water

名古屋市緑区の6-9月はフルーツ強化月間

買い物帰りの妻から「近所に果物の直売所があるよ」と聞いたので、散歩がてら覗いてきました。気温が少し落ち着いた17時ごろ、看板はあれどお目当ての果物はなく、空っぽの屋台が寂しげに佇んでいました。たまたま近くにいらしたオーナーさんに話を伺うと、「今はぶどうを売ってるけど8-9時にこないと売れ切れちゃうよ」とのこと。朝早いなと思ったけど、朝採れフルーツだもんねー。きっと近所の人が来るんでしょう。

家帰って調べてみると名古屋市緑区は果物の直売所が多いようだ。とくに7-9月は、もも→ぶどう&なしとフィーバータイム。全部好きなフルーツなのでぜひとも購入したい。

詳しくは名古屋市のウェブサイトから(こんなサイトあるのも初めて知りました)

名古屋市:農産物直売所(暮らしの情報)

身体の疲れが抜けませんねん…

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14日間休みを取れない日々が続いてまして、この3日間は夕方以降電池が切れるのを感じる日々でした。

今日は作業の合間に新成人の晴れ姿撮影会に声をかけてもらい、束の間の気分転換になりました。

自主的に新成人をお祝いしようとする人が街の中にいるってすごいなぁ。めんどくさいこともたくさんあるんだろうけど、暖かい付き合いに触れることができました。

足で稼ぐまちづくり、ポスティングで見える世界

200枚超でしょうか、小一時間でチラシを配り歩いていました。ポストを見つけては一枚ストンの繰り返し。散歩みたいなもので個人的には好きなんですが、入れられる側からすると余計な紙ゴミになることが多いのがポスティング広告ですね。2018年8月に立ち上げた合同会社のチラシは無料のセミナーだとしても、回覧板に挟むことができないのです。半径400m程度で収まるエリアなので、今日はふたりでポストに投函して回りました。

J-STATや国勢調査などで統計的な情報はいくらでも見てきましたが、実際に配ってみると見えてくる解像度が段違いです。郵便ポストにチラシがすっと入るところは生活されていて、溜まっているところは住んでいない可能性が高い。色あせた車や駐車場においてある荷物、よく言われる電気メーターの回転など、さまざまなところで生活ぶりや建物の中の状態が想像できます。もちろんジロジロと見ているわけでなく、ポストに投函するその一瞬一瞬で情報が入ってくるのです。


今回配っていたチラシは「ありまつ家守セミナー #02 『相続 以前/以後』というテーマゆえ、それっぽいお宅には「来てくれっ!」と思いを込めつつポスティング。久しぶりにまちを縫うように歩いてみると、宅地開発がどんどんと進んでいました。所有者やご家族さんが損をすることなく、地域の魅力や価値を高めることができる機会を模索していきたいです。メディアやテクノロジーのちからも大切ですが、小さなエリアだからこそ足で稼いだ情報の大切さを改めて感じました。

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ありまつ家守セミナー#02|相続 以前/以後
さわやかなバトンパス──もったいない空き家と呼ばないで
講師|家田大輔[野呂法律事務所]、杉浦志穂[とまり木司法書士事務所]

日時|2020年2月21日[金] 14:00―16:00(開場13:30)
会場|碧海信用金庫 有松支店 2階会議室
住所|名古屋市緑区有松3010(公共交通機関をご利用の上、お越しください)
定員|20名(申込不要・先着順・入場無料)
主催|合同会社 ありまつ中心家守会社
協力|碧海信用金庫 有松支店
後援|名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター
講師|家田大輔/いえだだいすけ[野呂法律事務所]、杉浦志穂/すぎうらしほ[とまり木司法書士事務所]

講演内容
───
想いを伝える相続のかたち by 家田

自分の想いを後世に伝えるために相続では、
いったいどのようなことができるのでしょうか。
遺された家族が関係を損なわないよう、
法的側面から今できることを考えてみましょう。
──
相続の前に知っておくべきこと
司法書士の観点から by 杉浦

相続が起きた後は、
どのような手続きが待ち受けているのでしょうか。
知っているようで知らない相続の現実を、
相談事例を交えてお伝えします。

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