「仕事をしない日」パーカーが出来るまで

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「仕事をしない日」パーカー届いた

「仕事をしない日」パーカーとは、読んで字のごとく胸元に刺繍で「仕事をしない日」と入れているだけのパーカーだ。このパーカーを着ているだけで仕事をしない日を宣言できるので、ビールをそこいらで飲んでいようが、お店に遊びに行こうが、友人と会っていようが誰にも文句を言われない。モバイル機器の発達によって誕生した小忙しい現代人にとっては必要なオフを察してもらうコミュニケーションツールとして制作した、なんてことはまったくない。実はコレ、ユニクロで作ったものなんです。

「仕事」という言葉について


そもそものきっかけはこのツイートなんですが、「仕事」という言葉と刺繍に着目したのには理由がある。話はさかのぼるが、このツイートをした時期も僕は「小豆島建築ミーティング vol.2」へ参加するために小豆島に渡っていた。同じく、アート小豆島・豊島2014のプログラムで滞在していたデザイナー 吉行良平さんがあるTシャツを着ていた。白いTシャツの胸元には、彼のデザイン事務所の名前でもある「吉行良平と仕事」と刺繍が施されていた。うーん、かっこいい。「仕事」という言葉になんだか惹かれていた。「仕事」という言葉への愛が屈折するかたちで、「仕事をしない日」へと結びついていった。

刺繍はユニクロ

「仕事」という言葉からはホワイトカラーがイメージされ、シャツに皮肉ぽく刺繍を入れようと考えていたのだけれど、どこで刺繍を入れたらいいのかわからない。町工場で野球とか作業着に社名や名前を入れているところをテレビで見たことがあったけれど、自分の生活圏で刺繍をやっているところなどまったく知らない。インターネッツで「個人 刺繍 名古屋」と検索してみたところ、持ち込みができるところもあったけれど、ロット数が必要みたいだったり、よく分からなかった。そういえば、無印でレーザーカッターとかコンピューターミシンとかやってたなぁ、と頭をよぎった頃、友達から「ユニクロ・カスタマイズ」というサービスを教えてもらった。

ユニクロ UNIQLO CUSTOMIZE|トップ -ユニクロカスタマイズ[customize.uniqlo.com]

あの世界的なファストファッション企業・UNIQLOが手がける、自社製品をオーダーメイドでデコすることができるものだ。プリントや刺繍などをUNIQLOで販売するものに施し、なんと1つから商品を購入することが出来る。

デザインの選択肢が少ない

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画面右上にある「DESIGN デザイン作成」をクリックすると、刺繍やプリントから選ぶことが出来る。今回は当然刺繍だ、間髪入れず「刺繍」をクリックするとまずは素材となる商品を選ぶ画面となる。パーカーが可愛い。シャツも皮肉で面白いけれど、ゆるめのパーカーにしようと数秒で心変わりをし、赤色の「刺繍する」ボタンをクリック。(まだ刺繍ができるのはシャツやカーディガンに限られているが、いずれはパンツとかアウターにも出来る日が来るのだろうか。)
すると刺繍のバリエーションを選ぶ画面となる。テキストのみを刺繍する「ワード」とワンポイントイラストと短いテキストを入れる「ワンポイント」だ。もちろん、「ワード」を選び、10文字を2行まで入れることの出来る「小・小」をクリックし、ようやく画像のような入力画面となる。
変更できる要素は、テキスト・フォント・文字色の3項目のみ、場所は左胸に固定されているので、1行目か2行目のいずれかに入れることで上下するくらいしか出来ない。僕は一行目に「仕事をしない日」と入力し、和文フォントの「楷書体」で、文字色は「ブラック」を選択した。「このデザインで注文する」をクリックし、スマートにカードで支払いを済ませ、発送先を入力する。

加工賃はロット数によらない

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注文から到着まで約10日間かかるが、焦る必要はない。気長に到着を待つばかりだ。刺繍の加工賃は+¥1,140で、これは商品数を1個だろうが100個だろうが変わらない。もともと小ロットを想定しているのだろう、個人ユーザーにとってはとても嬉しい。刺繍は名入で¥500のところもあるので、10文字でこの値段は良心的なものだと思う。また、UNIQLOというプラットフォームを使っているので、サイズもSMLと選ぶことが出来、値段も変わらないのが嬉しい。ただ、この刺繍はどこでどうやって制作されているのかわからない。この値段で制作できるのはなんでだろうか、コンピュータなのか人力か…。

しっかりとしたクオリティ

UNIQLOの製品クオリティをもったまま、刺繍のされたパーカーが届いた。ぱっと見の印象は悪くはない。ほつれていたり、ずれていたりとすぐにダメだなと思うほどのものはまったくない。ここのクオリティー管理もUNIQLOがやってるのだろうか、興味深いところだ。お試しで制作してみたのだけれど、これならシャツに刺繍入れてもよいかもしれない。
オリジナルのテキストが刺繍で入っていると、パーカーの紐やカタチがUNIQLOのものだとわかるようなものでもなかなか気が付かれない。どこのブランドですか、どこで売ってるんですか、いくらですか、と聞かれるのが面白い。5千円弱のUNIQLOのパーカーには見えないらしい。そんな反応が来るとは思わなかったので、ちと嬉しい。

この値段でふざけた刺繍を入れた製品クオリティを保つ自分だけのものが手に入るのは非常に嬉しい。愛着も湧くし、これから生まれるコミュニケーションもある。仕事をしていない日に着てても当然いいし、あえて仕事をしている日に来ていくのもまたいい。仕事をしない日シリーズは今後も作り続けていきたい。

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