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2011を振り返って:スケールについて

早いものでInclusive Design Now 2011の展示も終わりあっという間に年の瀬となりました。まだ日はありますが今年の振り返りとして書こうと思います。
 今年はIDN11メインに様々なリサーチを水野大二郎さんから学んだ一年でした。インクルーシブデザイン、カルチュラル・プローブを筆頭にそれまで全く知らなかったデザインの思考、言葉、方法がどどどっと上半期に流れこんできました。必死にしがみついていこうと試行錯誤しながらリサーチを繰り返していました。パイロットリサーチから調査テーマを決定し、カルチュラル・プローブを重ねてより精度の高い定性的調査を繰り返すプロセスはとても刺激で、これまで建築の課題で用いていたような定量的なデータとはとても違ったものでした。当時は上がってくる大量の定性的なデータをどう評価していくのか分からず困惑したものでした。あまりにも個人的で、"個人"スケールで上がってくるものを何にどう結びつけていくのか、水野さんや他の研究者の視点は大変勉強になったなと思っています。それが分かってきた頃、デザイナーさんたちと何を評価してデザインしていくのかという話がとても面白かったです。あがったデータから課題文を作成し、そこから立ち上がってくる模型、モックに毎回胸踊らせたものです。特に、中坊壮介さんのスピード感にはとてもしびれました。1/1に対する精度がプロダクトデザイナーさんはとても高く、図面からモック、プロトの制作までの一貫して高いクオリティだったのでとても驚きました。建築の模型はあえて抽象化して作るのですが、実際に立ち上がる空間を精度高く想像することはなかなか難しいです。できた空間を見てプロでもイメージと違うことがある中で、プロダクトのスケールではそれは殆どなく、図面→モック→プロトと劇的に進行していくところは大きく違うなと改めて感じました。抽象化↔具体化と精度を横断しながらものづくりできるように経験を積み重ねる必要があるなと思いました。
 大学院では「大震災のために大学は何が可能か」大きなスケールの課題が前期に出ました。京都での大震災が起きたとき、大学は何を行うべきかを企画提案しなさいというものでした。最も悩ましかったのは大学の運営や事業の運営に対してリアリティを持って考えることが難しかったことでした。そのため、ディスカッションをしていても『"ある"団体を大学内の"ある"部分で運営し、"ある"時点でそれが…』と"ある"という冠がよく出ていたように思います。その時、働くことや事業を実装するための1/1で考える力が僕には欠如しているなと痛感しました。また、ある時にデザイン界隈の人が「海外の学生は卒業制作や修士制作をプロダクト化するためにベンチャーを立ち上げたりや企業への売り込みをしているが日本ではあまりそういった話は聞かない。」というお話をされていました。これもそうしたスケールでモノを考えることが出来るか否かという話になるかなと思います。
 つまり、経験というものだけではなく想像力を働かせ、実現に向けて動き出せるかどうかが問題なのかなと思いました。今年度はfablab代表の田中浩也さんやコワーキングスペース運営されている方々のお話を聞く機会があり、パーソナルファブリケーションやフリーランスとこれまで以上に何かを個人で実行していきやすい状況にあるということを何度か聞きました。理想というスケールと実現という1/1スケールで物事を捉え、活動を続けることが重要だなと思います。目標ややりたい事を実現していくためのそうした可能性をきちんと発見し、自身の活動と結びつけて考える癖を来年は付けていこうと思います。就職活動が始まっています。2012年も楽しい年にしたいと思います。よろしくお願いします。