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社会と学生の距離がある日本企業はコミュニケーション能力を問えるか。

IDBM(International Design Business Management)のプロジェクトが中間発表を終え、多くのチームのプロジェクト進行がスピードを感じられるレベルになってきた。しかし、動きの重いチームもいくつかあり、そのうちの一つは日本企業へインタビューの打診をしているチームだった。彼らは日本企業数社にインタビューの打診をするも門前払いにあっていた。 

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[クライアントとのワークショップ準備中…]

僕らのチームは企業への中間プレゼンをかね、ブリュッセルとパリを訪れた。他のチームもより深くリサーチをするために国内外の企業や大学などにインタビューやプロトタイピングのテストを計画している。こうしたリサーチトリップも大学と企業が予算をつけて支援してくれ、欧州という大きな大陸をまたに掛けて活躍する人材を育成しようとする気概が感じられる。このリサーチや企業インタビューは当然学生主体で行われ、スーパーバイザーの教授陣は横道にそれないように楔を打っていくだけだ。基本的に、チームごとにいるスパーバイザーの教授とリサーチャーが直接的に学生を指導し、全体発表ではより上の教授がコメントをする。このコメントも何をどう定義づけたのか、どう調査を組み立てているのかが主題に挙げられる。そのため、企業よりの提案や教授よりの提案という一回性の高いものではなく、持続的で論理的な議論が行われていく。(ただし、フィン人は日本人のようにあまり多くを語らないのでアメリカ的な議論の応酬は起きない。)

f:id:pnch:20130201171634j:plain[クライアントとのワークショップ準備風景]

彼らのプレゼンを見て、自身のプロジェクトの進行を見ているとIDBMのプロジェクトではインタビューに時間を割くことが多いと気づく。インタビューも探索期間と発掘期間の二種類があり、探索期間は多くの企業や教授に短めのインタビューを行い、発掘期間は絞られたテーマに深く潜っていく。こうしたインタビューが実施できるのは、多くのフィンランド企業が学生のインタビューに快く応じるからだ。フィンランドの企業は担当者がはっきりしており、時にはWEBで名前、電話番号、メールアドレスがわかるため、学生側も連絡が用意だ。いきなりCEOと会うチームもあれば、一度断られるも教授の一声で再度マネージャークラスへインタビューしていたチームもあった。当然守秘義務レベルの内容は答えていなかったが、学生の率直な質問に嫌な顔せず対応していた。学生の数も少なく、企業の数も日本と比べて圧倒的に少ないが、ランチタイムを削ってまで学生とのコミュニケーションに時間を割くところには企業としての責任感を感じさせる。

一方で、日本国内企業へのインタビューを打診しているチームの足どりは重い。『お問い合わせ窓口』へ連絡するも、公的な取材にしか対応しておらず、学生の活動に非協力的だ。(もちろんすべての企業ではなく、快く協力してくださる企業があることも付け加えておきたい。)なによりお問い合わせフォームの目的欄には『学生の研究』という項目は存在しておらず、取材や講演の依頼と消費者のコメントしかない。学生という存在は、国内企業においてとても小さく、取材に応じる部門の窓口さえ開いていないというのが現状だ。しかし、大学のOBや教授のコネでこうした窓口を超えてインタビューができる。就職活動におけるOB訪問がそれだ。正攻法で内側にはいることができず、チャネルを持っている者しか機会が与えられていない。このチャネルを持つことがコミュニケーション能力なのだとしたら大学教育は意味をなさないだろう。平等な機会も与えられず、対等な関係も築けない状態では相互コミュニケーションを取ることはできない。

対応していたらきりがない、担当部署・担当者がいない、業務が滞るという言い訳は、学生の学習機会を損なうだけではなく、社会に対する説明責任を放棄しているともとれる。近年、企業の社会活動に注目が集まっているが、NPOや貧困国などの支援という華々しい活動だけでなく、足元を見直すことで企業として応える範囲が広がるはずだ。一方的な態度を取る国内企業は、学生にコミュニケーション能力を問う資格があるのだろうか、今一度考えるべきだろう。

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