14 シュツットガルト: ベンツにポルシェ、ミースやコルビュジェらによる戦後住宅

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ついに旅行を始めて二週間がたった。疲れも溜まってきているのでゆっくりと見て回る予定でスケジュールを確認。工業都市シュツットガルトは自動車メーカーの聖地だ。普段車に興味はないが、メルセデスベンツとポルシェミュージアムに向かう。どちらもNeckapark(Mersedes Benz)のように駅名と社名が表記されている。

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メルセデスベンツミュージアムは社会背景と共にメルセデスとベンツが辿ってきた形跡を展示している。馬車以後のエンジン開発に始まり、世界大戦、ドイツ統一、そして現代へ。いかに社会ととともにメルセデスベンツが、自動車の歴史があったかがよくわかる。パワーモビール、パーソナルビークル、大量輸送、レーシング、エコモビリティと要請は移り、対応する技術の開発が進む。質実剛健なメルセデスベンツらしさを展示プラン、展示内容に感じる。あっという間に二時間が経っていた。

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続いて、中央駅から10分、駅からさらに15分ほど歩いた丘の上にミースやコルビュジェらが建設した戦後の実験住宅群Weissenhof Estateを見に行く。第一次世界大戦後の1927年に安価でありながら生活の質を高めることが要請された住宅のモデルハウス群だ。参加建築家にはウォルター・グロピウスやブルーノ・タウトなど早々たるメンツが名を連ねる。すでに潰されてしまったものもあるがコルビュジェの住宅は美術館として利用され、他のいくつかの建築もギャラリーとして公開されている。

戦後の住宅供給という明確な命題に建築家が答える。コルビュジェは水平窓とシンメトリーなプランだけでなく、ふすまのような建具を使った間仕切りや棚の下にすっぽりと収まるベッドなどを提案する。空間の可動性から中・長期的な生活の変化を見越したサステナビリティに触れているように思う。生産的な課題に直面し、それを乗り越えようとするこの瞬間に建築の拡張を感じる。振り返ってみると、建築学の本流である生産・機能(計画)・意匠的課題を乗り越えた時に建築は次の世界を作ってきた。社会背景と建築の密接な繋がりを感じるとともに建築学の確かな積み重ねをここに実感する。