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小豆島「観光から関係へ」は未来のデザインミュージアム

27日に日帰りで小豆島へ大学の友人ら四人で行ってきた。僕は往復3,300円のチケットを購入し、夜行フェリーを神戸港から乗り込んで高松経由で坂手港についた。雑魚寝スペースは意外と明るいし、ジャンボフェリーの歌がうるさいので(歌を覚えちゃう)アイマスクと耳栓がある方がいいかもしれない。翌朝、フェリーから降りるとヤノベケンジの作品が迎えてくれる。観光案内所でうまいことレンタカーを借りることができ、朝便で来る友達を待ってる間に島をドライブ。祖父母は小豆島を観光地として捉えていたようだが、両親や僕ら世代はそうでもない。むしろ、最近の直島のほうが認知度が高い。やはり観光客は減少しているのだろう、ドライブ中に廃墟と化したホテルがいくつかみつかった。

http://instagram.com/p/cWlyonqewU/
[観光案内所とei cafeのある建物外観]

友人らが到着する頃、坂手港の観光案内所にもどる。瀬戸内国際芸術祭2013の出展プロジェクト「観光から関係へ」から、UMA / design farm + MUESUMが手がける観光案内所とCreators in Residenceの展示とショップが一階に、そして二階にはアーティストの活動スペースとei cafeがある。これまでの参加クリエイターらの活動は、一階に写真で展示されている。(もしかしたら別のものもあったかもしれない、というのも、ショップも手作り感が溢れていたので。)ヨソモノの視点で地域の人を観察し、つぶさに拾いあげていく。外からコンテンツを持ち込むのでなく、中からよいものを発見し、コンテンツとして仕立てていく。そこにこのプロジェクトの面白さがある。

http://relational-tourism.jp/wordpress/wp-content/themes/frame/image/title.gif
http://relational-tourism.jp/
ー観光から関係へ。
名所をめぐるだけの一度限りの「観光」ではなく、
人と人が出会うことで生まれる「関係」にこそ、
新の豊かさへのヒントがあるのではないでしょうか?
(序文より)

僕らが回った箇所では、どこも地域住民がスタッフとして誇らしげに"プロセス"と展示を語る姿が印象的だった。工繊で教えていただいた岡田栄造先生と清水久和さんのオリーブのリーゼントを見ていると、まっくろに日焼けしたおっちゃんが作品と作家らの話を教えてくれる。聞いてもいないのに、「岡田は今度家族で泊まりで来るぞ!泊まるのはそこの家や。」と(笑)それは家族が増えた義父母のようだ。新しい家族を迎え入れ、親戚と話しているような関係がここにあるように感じる。他の作品でも同様に、スタッフとして地域住民の方々がしっかりと話を聞かせてくれる。きっと、また秋には沢山の新しい話を聞かせてくれるのだろう。

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[umaki campを境内から]

先述したように、小豆島の「観光から関係へ」で示されてる展示は、作品を外から持ち込むのでなく、中にあるコンテンツを丁寧に拾うことで作られている。デザインミュージアムがない日本でこの眼差しから"デザイン"が発表されていることがすでに奇跡的だ。5年は先ゆく仕掛けだと思う。フィンランドで帰国前に「未来のデザインミュージアム」に関する展示がされていた。歴史採集だけではなく、未来の掲示もデザインミュージアムに課された仕事であるという。フードデザインや新素材を文化や持続可能性から、アクティビズムやコミュニティを強度の指標として展示されていた。残念なことにまだデザイミュージアムは日本にないが、なんと、ここ小豆島に未来のデザインミュージアム的な展開が起きている。

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[島民とstudio-Lによる醤油倉の展示]

grafと醤油通りの展示からは民藝運動の系譜を強く感じるが、UMA / design farm + MUESUM、studi-Lからは工芸品だけでなく工芸的なものとして島民の生活をともに展示しているところが民俗学的でもあるように感じる。ここでデザインが意味するところは何かと考えると、発見→理解→更新→共有の手続きを民主的に進めるための道具(Tool kit)ではないだろうか。つまり、デザインをすることで知の資源化と共有化を図る。その点からここにあるデザインは最終成果物ではなく、記録的成果物、置き石のように過去/未来をつなぐ関係となっている。島民も観光客も参加者として、デザインを通して合理的に新旧の情報を統合し、小豆島との関係を構築していく。ただの広告とは大きく違う。時代の転換期に新たな実験的実践は地方から始まっている。この場所で、これからのデザインの価値を感じることができるに違いない。

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