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学習と労働をつなげるフレームワーク思考

今日は、IDBM(International Design Business Management of Master program)通年のプロジェクトの中間発表が朝から行われるはずだった。正月明けの三日からこれまでと今後の進行に関するミーティングを重ね、提出するドキュメントの制作とプレゼンテーション用のスライド制作をしてきた。三日間くらいあまりろくな睡眠を取らずに、文章ばかりの資料をシンプルな図式に置き換えていく作業をしていた。いかんせん英語の文章を書く方ではチームの足を引っ張ってしまいがちなのでこうしたところで挽回をしなくてはいけないと気合も入る。幾度かのフィードバックをチームから得て、前日には万全の状態で完了することができた。
この中間プレゼンは、僕が日本の大学で行ってきたものとは似て異なる。過程のプレゼンテーションではなく、戦略のプレゼンテーション。何を見つけてきて何を深堀しているのかではなく、どういう位置づけからどう調査設計をしたのかを紹介するというものだ。これには二つの大きな理由がある。
一つは、コンプライアンス上の理由だ。以前の日記、イノベーションのための文書化は何を加速するのか。 - (http://d.hatena.ne.jp/pnch/20120927/1348758645)で触れたが、プロジェクト開始時に企業と契約を結ぶ。『取得したデータを外部に漏らさない。』というものだがこの外部には、アールト大学も含まれている。内部とは、学生と引率の教授ら、そしてクライアントだ。他のチームに同業他者がクライアントにいるのでこうしたリスクマネジメントは当然のことだろう。
そして、もう一つの理由とは、学術的な知識共有のためだ。IDBMは特質上、様々な分野の学生や先生が同席してプロジェクトが進行するため、それぞれの頭の中にある実践知を形式知として残していかないと平行線のままプロジェクトは終わってしまう。またチーム内だけでなく、専攻として実践を記録し、より良いイノベーション教育の礎にして行かねばならない。まだマスタープログラムとして歴史が浅い分、実践のほとんどが蓄えられる情報なのだ。そのため、多くの授業でフレームワーク思考を学ぶ。ケーススタディを繰り返しながら何をどう戦略立てて決めて行くことが有効なのか学び、自分たちのプロジェクトに応用していく。
こうして、通常は一回性の高い産学連携プロジェクトが知識として記録されて行く。教育の質をあげることができるし、大学の名で発表し、イノベーション教育でのプレゼンスをあげて行くことができる。これは産学連携を盛んに取り組むフィンランドとしては重要だ。参照できるデータベースが増えていくことで学術的な影響力だけでなく、社会的な影響力を獲得することができ、より大きなプロジェクトの運営も可能だ。僕みたいにその成果物や発表物を見て交換留学を決めるものもおり、大学のブランディングやマネジメントに大きく影響してくる。
最終プレゼンテーションでは、どこまで僕たちが発表できるのかイマイチつかめないのだがきっと具体的な数字や発見の発表、提案はできないだろう。シナリオプランニングをどうやって構築していったのかが大きなトピックで、そこで得たフィードバックを元にサイドブラッシュアップし、ディテールを含めたプレゼンを企業に行うのだろう。コンサルなさながらな実践をすることで、確実に現実味を感じることができるようになっている。学んでいることが仕事につながっていると思えるのは、こうした学習環境が設計されているからだろう。

知識創造企業

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