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有松絞り×デジタルファブリケーションWS@名古屋 レポート #portal_.

イベント 企画 有松

秋晴れが気持ちいい9月13日に、Maker Lab Nagoyaと久野染工場の協力の下、『有松絞り×デジタルファブリケーションWS』をARIMATSU PORTAL; PROJECTで開催しました。すでに記事を書いているように、手ぬぐいをつくるWSではなく、手ぬぐいをつくるための版木をつくるWSです。名古屋では東京と名古屋から5名の参加者が集まってくれました。嬉しいことにひとりはタイからやって来た留学生です。タイでもこうした「染色とデジタルファブリケーションを組み合わせたワークショップは知らない」とのこと。お互いに初めての試みでドキドキします。

ワークショップのはじまり:型とパターン

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手描きとパソコンで型を考える参加者

朝 10:00からMaker Lab Nagoyaに集合し、午前中は版木を制作します。有松絞りで利用する板締め絞りの形、構造、染色方法を知ってもらい、どのような形ができしているのかを考えます。それと同時に、どんなパターンが染まるのかも考えてもらいました。

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WSで使ったスケッチシート

ベーシックな四角、三角、直角二等辺三角形の折り方に対してどんな板をあてがうかで、出てくるパターンは変わってくるのです。実際に使う版木のサイズ(85mm×85mm)とパターンを考えるのですが、蛇腹に折りたたんであるので三角などは想像するのが少し難しかったようです。今回は版木だけの制作でしたが、ここに折りたたみ方と染色部分を加えるとさらに無限の制作が可能となります。それは、又の機会にして、今回はパターンをつくることのみに集中。

型の切出し

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レーザーカッターの光は眼に悪いけど見ちゃいますよね

今回は、四角の型から考えた人が4名、正三角形から考えた人が1名でした。また、幾何学的な模様を作った人が4名、フリードローイングは1名でした。複雑な形状やフリードローイングでも、データ化してしまえばいくらでも切り出せるのは素晴らしいですね。そのためにもカットラインをデジタル化しなければいけません。今回は、Adobe illustratorからdwgで書き出し、レーザーカッターで切出します。

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5名分の版木を並べてみる

こうしてできた版木がこの5つです。さて、こっからどのような柄が生まれるのか、楽しみです。

有松で染めよう、の前に

ここから会場を有松にある久野染工場に移します。地味に移動距離があり、だいたい1時間くらいです。昼食をはさみ、早速版木を使って手ぬぐいを染めていきます。

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手ぬぐいを折りたたむ

板締め絞りは、布を蛇腹に折りたたむことで同じパターンを染め付ける技法です。APPのメンバーでもある久野染工場の専務・久野浩彬さんに教えていただきながら、蛇腹に折りたたんでいく参加者たち。久野さん曰く、四隅を揃えて折りたたむことできれいなパターンができるのだそうです。

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版木で布を挟み込む

布をたたみ終わったら、切り出してきた版木で挟み込みます。この時、上下で向きや位置がずれてしまうとうまく染色することができません。慎重に位置を合わせ、万力で固定していきます。板締め絞りは染めつける技術ではなく、色が染まるのを防ぐことで柄を生み出す技術なので、ここをうまくやることがポイントの一つです。ゆるすぎると布の中まで染料が浸透してしまい、きつすぎると細かいところまで染料が入りにくい。ここは熟練の技が求められそうです。

やっと染めるよ

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染料の入ったタンクへドボン

締めあげた布は一旦水につけ、気泡がなくなるまでしっかりと濡らします。濡らすことで防染され、アウトラインが出やすくなります。そして、ついにタンクへ全体を投入。今回は青と赤の2色から選んでもらいました。スレン染料を使い、染料の中に入れてる時間はだいたい60秒です。その間に板を四方からトントンと叩くことで染料が中に入りこむのです。「力を入れ過ぎると板がずれそうで加減が難しかった。」とコメントも。

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実際に出来た手ぬぐいの1つがこちら

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パプリカの断面みたいなパターン

外から中にかけて、徐々にぼんやりとしているのが分かるでしょうか。これは染料が手前の布から固着してしまうことで目を塞ぎ、中の布まで到達しにくくしてしまうことでおきるのだそうです。ぼんやりとすることを前提にデザインできるようになると面白いですね。これはプリントとの大きな違いだと思います。ちょっとした人間らしさをアナログに表現できるところが面白いです。

ちなみに、こちらの手ぬぐいは「知多木綿」と呼ばれる素材で、目が荒く染まりやすいことで昔から使われていた素材だそうです。また、使い込むほど柔らかくなり、肌触りもとても良かったです。

次に作る人へのバトンパス

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コメントは次の自分へ語るように

「思ったような柄になった。」「イメージと少し違ったので、また、版木を作り直して来たい。」という声が参加者から聞こえてきました。そう、イメージと違ったのならば版木のデータを修正すればいいんです。もう少し大きく、小さくを繰り返すうちに適切な形がきっと出てくるはずです。同じようにアナログな染色の部分もトントンと強く全体的に叩くことで染まりが綺麗になると気づいた方が多かったようです。こういう一つ一つの知恵を集めていくことで、伝統は出来上がってきたのだなと改めて思います。


Cut lines for Shibori, Tie Dye created at Arimatsu Shibori x Digital Fabrication Workshop in Nagoya by ArimatsuPP - Thingiverse

ここで制作したカットラインのデータは、Thingiverseというものづくりのためのデータ共有サイト(Youtubeみたいなものです、たぶん)に早速アップロードしました。一部では有りますが、参加者のアドバイスも乗せておりますので、コレを利用して私も作ろう!という人は是非参考にして下さい。

今回、会場で利用させていただいたMaker Lab Nagoyaさんは主に週末の土曜日午後からオープンしており、1日1,000円で利用できるようです。今回のワークショップでは、東急ハンズの朴材 5mmを使って版木を作りました。材料を持ち込めばカットしてもらえると思いますので、興味のある方は連絡してみてください。
また、久野染工場では、手ぬぐいやハンカチを染める絞り染め体験教室をやっています。こちらでもし染めてみたいという方がいらっしゃれば、お電話の際に「版木持ち込み」とお伝えすればよいそうです。詳しくは工場に問い合わせてみてください。

次は大阪へ

次回は9月20日に大阪 Fablab Kitakagayaで同じWSを行います。興味を持たれた方はぜひいらして下さい。

有松絞り×デジタルファブリケーション@Fablab Kitakagaya #portal_. | Peatix

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全員の手ぬぐいと版木を並べて

追記 2014.10.6

大阪のワークショップで制作されたデータを公開しています。


Cut lines for Shibori, Tie Dye created at Arimatsu Shibori x Digital Fabrication Workshop in Osaka by ArimatsuPP - Thingiverse