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Good Job!セミナー 愛知 ~福祉と企業の協働から生まれる地域ブランディング~ に登壇しました

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<名古屋展示の様子>
障がいのある人たちとの協働によって生まれたプロダクトの展示・販売やその取り組みや仕組みの普及を行うGood Job! プロジェクトの東京展示に引き続き、名古屋のナディアパークでの展示に「絞染色 久野染工場×Good Job! プロジェクト」で開発中のレインウェアを出展していました。また、13日(土)には久野染工場専務とセミナーにも登壇させていただき、満席の中で取り組みについてお話させていただきました。セミナーにご参加くださった皆さん、わずか3日間という短い期間の中に訪れてくださった皆さんに御礼申し上げます。

授産品からプロダクトへ

授産品と呼ばれる障害者支援施設から生まれた商品は国内にもたくさんありますが、そのデザイン性の低さのせいか、私は「社会的正義」を購入しているかのような気持ちがしたことがあります。モノが良い場合になおさら強く感じてしまうのは、僕がデザインを学んできたからというわけではないと思います。経産省が「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究」のなかで、狭義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための造形行為とそのディレクション」と定めていますが、広義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための計画・設計行為とそのディレクションディレクション=方向付け、調整、意思決定としています。僕が感じた違和感というのは、思いが意匠造形に反映されていないだけでなく、「福祉×ものづくり」のもつ意義が表面化していなかったからではないのかと思います。

できることから考える/ファシリテーションをする

セミナー内でまちづくりなどを行なうRootsの佐藤直之さんが「まちづくりは事例(箱物・ゆるキャラなど)のコピーが蔓延し、本質的な"町の生活"の改善に影響していない。」と厳しく指摘され、たんぽぽの家理事長の播磨靖夫さんも「福祉も事例(さをり織り・キモカワ雑貨)のコピーが多い」と類する批判をされていました。これではパイの奪い合いとなるだけで、障がいのある人の自立をサポートすることはとても難しいでしょう。当事者の声を聞くことなくカタチから入り、目標と目的を誤認していることが多いのは、ケアする側のスタッフが介助などの作業で考える時間があまり取れないことも原因のひとつとなっていそうです。今プロジェクトにおけるデザインリサーチャーの役割は、スタッフの代わりに当事者の声をきちんと抽出し、製造業やデザイナーとの間を取り持ち、絞りや柄のテキスタイルデザインまで昇華させること。福祉施設の利用者とスタッフがどのようにものづくりへ関わることが出来るのかを見定め、どのようなプロダクトをつくるのか方向づけることでした。
セミナーの中では、私たちが関わったプロジェクトのように、製造業と福祉施設の協働をすれば、このようなポンチョが制作できる事例が成立するわけではないことを念を押してお話させていただきました。必要な情報を抽出し(ワークショップ)、利害関係者間で共有し(デザインディレクション)、プロトタイピングを繰り返すことが求められていたのです。このプロジェクトは「レインウェアの制作」が決まっていたわけではなく、「できること・出来る方法から商品を開発」した結果、レインウェア・ポンチョとなり、「障がいのある人が伝統工芸で働く」環境を獲得する可能性を示そうとしたのです。

ポンチョ開発で見えた「福祉×ものづくり」の可能性

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<東京展示でのレインウェアブース>

9月下旬に開催された初回のワークショップからわずか2ヶ月というスピード開発でもここまで制作することが出来たことで、デザインプロセスの上流に障がいのある人を参画させることの重要性を再認識することが出来ました。ワークショップとデザインのフィードバックを繰り返すことで、関係者間の認識のズレを抑え、やり直しを防ぐことが出来たのです。つまり、利害関係者間の調整役/指揮者であるデザインリサーチャーが主導する「できること」に着目したものづくりから、「伝統工芸の新しい"担い手"としての障がい者」と「労働環境としての"伝統産業"」が見出されたと言えるのではないでしょうか。
障がいをプロダクトの「特長」として引き出すような仕組みを開発工程に導入することで、「何をつくるか」ではなく「どのようにつくるか」「なぜつくるのか」を再認識することが出来るのだろうと考えています。「福祉×ものづくり」が持つ意義をプロダクトに反映し、Good Job! な開発が今後も展開されることを期待しています。

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<名古屋で開催されたセミナー中の様子>

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