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街とブランドの調度良い関係、「FAMILY OF NIESSING」展 名古屋にて

ジュエリーブランドNIESSING(ニーシング)の本社があるドイツ・フレーデンの街やそこで働く人々の姿を写真に収めた本展が名古屋・伏見で開催された。展示に合わせて写真家の濱田英明さんと本展示ディレクターの岡田栄造さんのトークイベントも2015年1月23日に開催されるとのことで出向いてきた。数百枚の写真の中からニーシングらしさが現れた写真をピックアップし、岡田さんと濱田さんが"らしさ"についてコメントを付け加えていく。「いくらでも話せる」と両名がおっしゃられていたように、装飾(デコレーション)装置としてではなく、機能と意匠が統合したプロダクトとしてデザインされているバウハウスを背景に持つ本ブランドが生まれる過程から多くの発見をすることができた。

2013年、建築家・中山英之さんがデザインした微細な彫刻加工が施されたリングのデザインが本プロジェクトのためディレクターに岡田さんを迎えたニーシングから発表された。今回と同様に開催されたトークイベントで、中山さんは工学的な構造とシンプルでも力強い意匠について興奮気味にお話されており、ドイツブランドの持つ質実剛健な印象が残っていた。今回の写真展ではデザインが生まれる環境に注目したことで、その印象とは全く異なり、ブランドと地域との関係を知ることができた。

寡黙で厳格な男性が磨かれた手の感覚を頼りにつくりだす姿ではなく、カメラに向かってにこやかに笑いかけたり、自分たちがつくったであえろうジュエリーをさり気なく身につけていたり、着飾らず主張しすぎない姿が写真から読み取れる。そうした職人やデザイナー、経営者らは、暖かな日が差し込む窓辺で作業していたり、緑があふれる敷地内に工房があったり、かつて使っていた道具が何気なく身近においてあったりとヒューマンフレンドリーな環境で働いているようだ。職場と自宅が近いので自転車で食事を摂りに帰宅するというのも家族との時間を大切にする欧州らしさを感じる。

街にはニーシング関連の彫刻もあるようだが、人工物と自然物の調和にデザインのインスピレーションを置くという話からは、ブランドと街・生活との適度な関係が読み取れる。少し歪んだ天然木をうまく組み合わせて外装材とする建物をさして「あれがニーシングらしさだ。」と説明する。フレーデンを歩けばニーシングを感じ、ニーシングを身に付ければフレーデンを感じるのだろう。中山さんのプロダクトからはニーシングの真面目さと技術力の高さを垣間見ることが出来たが、濱田さんが見せてくださったたくさんの写真と両名のお話からは、国内に多数ある産地と地域の将来像を考えるヒントがたくさんつまったものだった。