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障害者とのものづくり、工程をデザインするpoRiffの取り組み

イベント 思考

http://poriff.com/index.jpeg

本日はたんぽぽの家が主催する『アート化セミナー』にてpoRiffの薮内さんと「工程をデザインする』パートでプレゼンをし、UMA/ design farmの原田祐馬さんも交えてのクロストークに参加しました。poRiffの話が非常に面白かったので、ツイートを元にメモをば。

poRiff(ポリフ)は、ビニールの買い物袋を細かく裂いた1万ピースをコラージュし、アイロンで熱溶着してつくるシートを使ったプロダクト。薮内さんは3つの施設(就労B型、生活介護)で非常勤勤務をしながら障がいのあるひともつくることが出来る工程をデザインし、彼らとプロダクトをつくっている。こうした活動ができるのは、施設でpoRiffの商品を作っているだけでなく、制作や展示を含めたアート活動、施設の広報物制作、展覧会の企画運営、自主製品の開発や施設外のデザインなどを兼務しているからだそうだ。poRiffとしては、他の施設や展示会場でのワークショップの企画運営と作業工程の設計を行い、営業活動・販売管理と新商品の開発なども行っている。前者は支援、後者は技術提供という複眼的な視点で幾つもの業務を並走させている。

poRiffは様々な障がいを持つひととものをつくるため、いくつかの簡単な工程を複数の利用者で分業している。まずはメンバーが地域のさまざまな場所から素材となるビニール袋を集めてくる。担当の利用者が集めたビニール袋をまっすぐに伸ばして色分けをし、素材の加工によって分類を行なう。ここからハサミが使える人にバトンタッチをし、ビニールを細かく裂いていく。poRiffの特徴的な柄を出すためにサイズが異なる3つのピースを切り出していく。切り出したピースからベースとなる大きいもの、差し色となる小さなピース重ねてアイロンを掛けて大きなシートを作成する。大きいピースと小さいピースの選定者を交代させることで人為的にランダムな柄となるそうだ。早ければ2日間、長い人は2週間かけてシートをつくる。そこからプロダクトの方に合わせて切出し、ミシンを掛けて、商品の完成。シンプルな工程のため、ワークショップの後にパクられたり、改変されたりすることもあるそうだが、ピースのサイズ調整やアイロンがけのタイミングなど、いくつもの試行錯誤の上に成り立っているので表面的なマネはできてもあの特徴的な柄のプロダクトをどこでも作れるわけではないだろう。

当時、芸大生として「人と違うようにあれ」と教育されていた薮内さんは、福祉施設へ出入りする中で健常者ができることを利用者ができるように「させられている」ことに衝撃を受け、デコボコなそのままを認めることをテーマにしたそうだ。こうして開発に1年の期間を有してようやく市場に出回るようになったpoRiffの販路が増えてくる中で、テーマを再考する「poRiff exhibition2014 STANDARD WO UTAGAE!」を実施した。poRiffで何をしているのかなど各利用者さんの日常を切り取るような質問をし、どんな受け答えをしてどのような回答を得たのかを展示した。利用者とのコミュニケーションは発話のほか、筆談や身振り手振りといったものもあったようだ。個人的に注目したいのは、利用者とスタッフにカメラを渡して普段の生活を撮影してもらうというリサーチ。利用者とスタッフと薮内さんが築いてきた関係がよく現れていることだけでなく、薮内さんの創造を超えた超日常的な所作が表出していたからだ。

この展示を通して、薮内さん自身を含めた鑑賞者の価値観や常識が揺さぶられることを期待したという。つくれる、売れるといったことが利用者のモチベーションに影響している。彼らの個性を活かして作れるためにはその特徴を浮き彫りにし、さらに、居場所や働き方に合わせていく調整が求められる。色を見分けるのが苦手な利用者には、カラフルな素材から白黒の素材に変更してツートーンのシート素材を開発した。出来上がったシートの質の高さを褒めてるうちにもっといいものを作ろうと総ドットのバックができあがり、市場でも好評だったのでそのまま正式な商品化につながったと言う。利用者自身がどんな人になりたいのか個性を尊重し、豊かな時間過ごすことができる環境がそこに出来上がっている。

改めて話を聞いてpoRiffの凄さを理解することができた。3つの施設をはしごして製造管理、営業、施設の広報物のデザインまでこなす彼女の横断的な才能に驚きを隠せない。利用者の特徴を引き出すために柔軟なデザインプロセスを念頭に置き、日常の所作から作業を引き出そうとする姿勢はデザインリサーチとオーバラップしており、「ここも共通点あるやん!」とうなずくばかりでした。私も講師としてお話させていただきましたが、彼女や他の講師の話は非常に勉強になり、私自身もとても学びの多い機会となりました。
poRiff

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