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ワークショップに流れる時間

思考
参加している時間はあっという間なのに、その準備や段取りにかける時間はその比じゃないのがワークショップだ。いかにシャープなら目的と課題を設定し得るのかは、検討材料を集めるところから始まっているため、テーマの凡庸性と深度には細心の注意を払う必要がある。経験を積むことで工程は早く進めるかもしれないが、テーマ設定だけは時間がかかる。

短期間でやらなければいけない場合(できる限り避けたいが)、1枚のA4シートに企画書を書くところから始まる。アイデアソン、デザインワークショップのような発散されることが求められる場合、「〜の of」ではなく、「〜のための for」で考えることが多い。つまり、オブジェクトを指すのではなく、経験や期待をテーマにする。e.g.) ×: やかんのアイデア、○: 喉の渇きを潤すためのアイデア
これではテーマが広すぎるので、範囲を狭めないと時間内にアイデアのタネは掴めない。次に考えるのは、環境や背景だ。背景を描くことで参加者のアイデアの基盤に対するイメージ解像度が上がる。まさにマンガの背景さながら、その中で生き生きとするキャラクターやオブジェクトを考えることに専念してもらう。e.g.) ○: 真冬の移動中に、ドブ川沿いで、水道が止まった時間帯になど
おおよその参加者とファシリテーターの数は、テーマによるが5人または5チーム以上をつくることはなるべく避けている。場所や予算にも影響し、必要となる道具を揃えるのにも非常に時間がかかってしまう。アイデアを収束させるための時間やダレない体感時間を考え、集中して関わり続けられる方法を探ることが必要だ。

この企画書を持って担当者に提案し、確認が取れ次第、参加者集めに奔走する。当たりをつけたところにひたすら連絡し、返事を待つ。おしゃれな広報物がなければ、参加を動機づける楽しそうな文章が必要になる。ワークショップは下手をすれば「やる気の搾取」あるいは「無償労働」になりかねない。参加者に気持ちよく過ごしてもらうために、緩急つけたプログラム配分や環境づくりを心がけなければいけない。
始まってしまえばあとはファシリテーションに最大の注意を払い、部分と全体を見渡しながら進行する。質問する。チャチャを入れる。要約する。手を動かせる。

あっという間に過ぎてしまう実施中はたくさんの写真記録が第三者の目線として重要になるが、それ以上に参加者のアイデアや振り返りが大きい。「なんで?」という質問を繰り返しながら、参加者のアイデアではなく、アイデアが生まれる過程を振り返る。その過程には知識的な学びだけでなく、創造する思考力があるからだ。その力を言葉としても引き出し、内在化せるためにも、まとめの時間は大切にしなければいけない。

ただ闇雲に時間内に手を動かすのではなく、その前後にしっかりと考える時間を割く。体感する時間や刺激は最中の方が圧倒的に早く、大きいが、最も何かを得ることができるのはその前後にある。