建築合宿2010の中間講評・エスキスに参加してきました。

昨年、参加したワークショップ建築合宿が今年も行われています。

"建築×合宿10" 3/21-27 @Kinki Univ.
最終講評ジュリスト:TNA(武井誠、鍋島千恵)
中間講評/エスキス:満田衛資、川勝真一、dot architects(家成俊勝、赤代武志、大東翼)
テーマ:「接する建築」多様な接し方。多様な接する相手。「接するとは?」ではなく、「建築が接するとは?」「接する建築とは?」

この中間発表とエスキスが行われていたので満田さんにお声を掛けていただき、参加してきました。今年はすごく抽象的なテーマで、敷地設定も表現も自由だと聞いていたので混乱しているのかなと予想していたのですが、案の定多くの班が悩んでいたように思いました。
各班のプレゼンのtsudaりを@shirasu_さんと一緒にやっています。それに伴うポストをtogetterを使ってまとめていますのでぜひ見ていただけたらなと思います。模型写真やエスキスの風景もアップされているので雰囲気を感じてもらえたら幸いです。
建築合宿・エスキスのtsudaり、まとめ

プレゼン中に感じたことは基本的にポストしているのですが、こっちにも書いておきます。
1.多くの班が建築以前の話に注力し過ぎている点。
2.より意識を共有できるツールを早く見つける。
3.プレゼンテーションをもっと意識する。

1.多くの班が建築以前の話に注力し過ぎている点。

今回のテーマはとても抽象的で「接する」とは何かをプレゼンしていた班がとても多かったです。そして、その定義を話すがゆえに建築の話にまで辿りつけておらず模型やスケッチも出せない班がありました。TNAのお二人ははたしてその"接する"を聞きたいのでしょうか。僕は、接することで生まれた"空間"や"行為"を見たいのではないかと思います。そして、そこに建築の発展性があるのではないかと考えているのではないでしょうか。それはアーキフォーラムのレクチャーを満田さんがまとめた文章にも如実に表れているように感じます。

講演の最後では、自作ではなく武井氏が感銘を受けたという四万十川の沈下橋について触れ、橋として本質的に備わっているべき機能と周辺環境の関係や、そこでの人の振る舞いなどについて「自然と人工物の接し方」として着目し、「そこから生まれる独特の感情は建築でも作れるのではないか」「そういう風景をもった建築をこれかも作っていきたい」と述べて講演を締めくくった。(建築の跳躍力 第8回講演: 輪の家・モザイクの家/武井誠+鍋島千恵:接点の風景

つまり、彼らが考える"接する"という定義からどのようなプロセスを経て空間の構成に、そして建築の設計にまで進められるかが今回の建築合宿では重要となるでしょう。残念ながらそこに至らずに、メタな建築以前の話をしっかりとやっていた班は早くここのレベルに至る努力をしていくべきです。"接する"の定義から脱却し、機能や敷地の選定に始まり、建築の設計にまで飛躍していってほしいです。また、ここのレベルに至っている班はより造形を深め、空間の設計やプラニングのよう具体的な設計へ進んでいくでしょう。その時に、どのようなプロセスを経て接するという表現をできるのかを頭において進めることがいいと思います。

2.より意識を共有できるツールを早く見つける。

プレゼンを見ていると、多くの班がポストイットなどを用いて"言葉"のエスキスを繰り返しているようでした。それはやはり言葉の定義を彼らが必要としたからだと思いますが、時間は限られているのでこの言葉の定義から次に建築設計への移行をはやくするべきでしょう。ですので、この段階では自然と意識共有のためのツールはスケッチや模型といった具体的な検討が求められると思います。これは総評で赤代さんも指摘されていましたが、やはりグループワークで問題を共有して検討していくことが求められるので、模型などを用いたうえでセッションをし、フィードバックした上で次の模型をつくる、といった行為が必要でしょう。

3.プレゼンテーションをもっと意識する。

限られた時間内で自分たちの伝えたいことをきちんと表現することはとても難しく、場数を踏んでいないと分らないことがたくさんあります。去年の自分もかなり早口でしゃべっていたっけな、と当時を思い出しました。それにしても、最低限プレゼン時間を守るということは押さえておくべきです。よくわからないことをダラダラと聞かされると質疑応答の時間も短くなるし、どうこたえていいのかわからないので無駄に時間が流れる可能性もあります。そのようなことにならないためにも僕はトップダウン式のプレゼンテーションをお勧めします。今回、多くの班が接するの定義、敷地選定理由など前提条件を長々と話している印象がありました。そこに気を取られ、おそらく自分たちが一番悩んでいる「接する」から「接する建築」への話をできていた班は少なかったでしょう。すごくもったいないと思いました。質疑応答の時間も当然プレゼンの時間となるのであえてプレゼンで言わずに質問させ、話すこともできるのです。そこを意識していたらもう少しヒントをジュリストさんも出しやすかったのではないかなと思います。最終ではそこを意識してプレゼンをしたら接する建築のセッションが学生とジュリスト間でできるのではないでしょうか。


以上が今日の中間講評、エスキスから感じたことです。「去年参加者で今年はいきなりエスキスすんのかよ!」とつっこみが入ってきそうですw 去年の参加者として、あのイベントはとても有意義な時間であったと今もなお思っているだけに悩んでいるみんなにアドバイスを上げたかったし、一緒に考えたかったというのが正直な気持ちです。特に、街づくり系のゼミにいってから設計活動をしていないので今日はとても刺激的でした。あと残り三日間で各班がどれだけ進化しているかとても楽しみです。27日の最終講評も行く予定です。