小豆島建築ミーティング vol.2を終えて

2014年8月22日に小豆島、Umaki Campで開催された小豆島建築ミーティング vol.2に登壇者として参加してきました。登壇者には、宮本佳明さん、家成俊勝さん、藤村龍至さんほか、第一線で活躍される建築家の方々ばかりで非常に濃密で、刺激的な時間となりました。浜松でUmaki Campを議論した浜松建築ミーティングに続き、今回も末席に加えていただきまして、本当にありがとうございます。

今回の議論の主題が『建築と教育』ということは、諸事情により、前日のジャンボフェリーで聞かされたのですが(笑)、藤村さんのモデレーションにより、「教育」をメタファーに議論が広がっていきました。議論の中心に上がったのは『マレビトとしての建築家/強い技術・弱い技術/継続する仕組み』でした。僕自身は、マレビトという建築家が旅立ってしまっても建築は独立して強度を持ち続けるのかということよりも、dot architectsから小豆島町地域おこし協力隊・向井くんへ、向井くんから利用する地域の人たちへとマレビトの主体が広がりつつあるエコシステムの方に興味が向きました。多様化する社会の中で生活する私たちは目に見えない異文化をも持ちえているので、近しい人からも新たな発見と刺激を受けます。ただし、それが表面化しないだけであって、交流しないだけでなんだと。

瀬戸内国際芸術祭からUmaki Campが生まれ、そこで活動する小豆島町地域おこし協力隊が立ち上がる。ここから小豆島は何をフィードバックしていくことが出来るのでしょうか。塩田町長が仰られていたように行政区分で指し示せないUmaki Campの活動は、今後、どうなっていくのでしょうか。予算300万円(+アルファ)でが出来る「弱い技術」でつくられたこの建築は、行政のような「強い仕組み」ではなく、アートプログラムのような「弱い仕組み」によって交流が生まれています。今後の生存戦略もとい、持続可能なUmaki Campとなるためには、制度設計が進み、弱い仕組みが強い仕組みになる「サービス化」を進めることで継続的な利用に繋げるのか、「設備補充」によって強い技術が利用できる交流場所となるのか。前者がHUBで後者がFablabのようなイメージを持っています。
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vol.1では、Umaki Campとはいったい何なのか。vol.2では、Umaki Campの独立可能性について議論されたのではないでしょうか。家成さんから「建築は開いた」に続き、「建築はウィンクした」という宣言があったように、まだまだ半開きの状態であることがわかりました。社会実験場で醸成されていく経験を定義付けて形式化することは時間のかかることですし、荒々しさを失う作業かもしれません。一方で、こうした環境の設計から、社会の深層をもう一度表面化し、議論することは、建築やデザインの新たな領域を開いていくきっかけになりました。Umaki Campのような小規模多機能施設が持続する仕組みについて、今後も議論していくことができればなと思います。また、vol.3があればぜひ参加したいです。

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