市民参加の究極系?「60デイズイン」は刑務所を変えるか

年末年始の話がまだまだ続きます。

刑務官と囚人の悪質な犯罪が続くアメリカの刑務所を改善するため、新たなプログラムが用意されました。自主的に参加する7名の市民を囚人として潜入させ、その実態をレポートするドキュメンタリー「60デイズイン」。2016年にはじまった番組はすでにシーズン4まで放送されていますが、AmazonPrime Videoにはシーズン1の12話がラインナップされています。リサーチの参考になるかもと身始めたところ、一気に全話見進めてしまいました。

 

 

3つのグループに分かれて「投獄」される参加者は、囚人と自分と同じく参加者かどうかをほとんど知らないまま進んでいきます。そのため、まるで囚人のように他の参加者を非難したり、あるいは囚人に友情や信頼を抱くと発言をし始める参加者たち。入所前は「犯罪者」として、税金の無駄遣と非難していたものが、あるいは擁護すべき弱者として見做していたものの立場がコロコロと変わるのが面白いです。視聴者には犯罪者と一般人の区別などほとんどないのではないかと思わせるには十分ですね。

保安官や新所長などは出てくるものの、どこまでリサーチプロジェクトとして計画実施されているのか、番組中ではよくわかりません。しかし、そこで描かれている人々は、明らかに薬物中毒な囚人や凶暴なものを除いて、我々の生活で出会うような「普通な」人ばかりです。それゆえ、参加者が提案する改善プログラムの内容は、「当たり前な権利」を当たり前に行使できるよう求めているようでした。

 

アメリカと日本で環境や文化が異なるとはいえ、すぐそばにある狂気に恐怖を感じます。参加者らによる振り返りの13話がなぜかないのがとても残念ですが、ネトフリやHuluにはあるようなのでぜひとも見てみたいです。

テレビ局のスタッフが極力関与しないような態度をとっており、それがリサーチプロジェクトとしておこなわれているのかなと匂わせます。時系列や人ごとにバラバラした編集は恣意的ですが、ソーシャルサービスに興味のある人は見てみてはいかがでしゃうか。

 

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