はじめに。

このブログはPNCH(パンチ)ことKAKERU Asanoのブログです。主に建築やデザインを中心としたエントリーを書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

■Profile
PNCH (パンチ)
1987年生まれ。男。フリーランスデザイナー・リサーチャー。京都工芸繊維大学大学院修了。CONNECTARIMATSU PORTAL; PROJECT共催。
連絡先 pnch.0924☆gmail.com (☆を@に変えてください。)
趣味 読書、DJ(Sbstrm)

pnchさんの読書メーターpnchの最近読んだ本

amazon ウィッシュリストを公開しました。勉学の支援を期待します。

2015年にやること・やらないこと

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1年の計は元旦にあり。すでに元旦は過ぎているけれど、100個も書き出さないのでどうにすべりこませて欲しい。

やらないこと

  1. 週7勤労、2日以上の徹夜
  2. 喫煙
  3. 経営コンサルきどり

2014年も注意をしていたのであまり週7日勤務した月はなかったと思うけれど、長期的な働きを考えた時にきちんと休みを取る選択肢を持つこと。それが「仕事をしない日」パーカーシャツに表れている。コレと同じく健康を考える上で、1年程度続けていた喫煙をやめることにする。修士論文執筆中にはじめてしまったものなので、やめるのは苦じゃない。年末から減煙中なので春先にはきっぱりとやめているはずです。

経営コンサルきどりは、自分が何を生み出していて報酬を得ているのか分からなくする。契約も曖昧だし、自分の事業を曇らせることになりかねない。きちんと契約書を作成したり、事業区分を明確にして実行する時間をとるためにも頭でっかちな経営コンサルきどりはやめます。僕はデザインリサーチャー、サービスデザイナーです。もっともこれも事業をよく分からなくさせていると指摘されているのですが…。

やること

  1. 事務所の名前を決める
  2. 事務所の開設
  3. インターンを雇う
  4. 洋書を10冊読む
  5. 和書を10冊以上読む
  6. 論文を30本以上読む
  7. 論文執筆
  8. APPのウェブサイトを充実
  9. APPで持続可能性をテーマにトークイベントを実施

2014年は事業内容を限定せず、選択肢を増やすという意味でとりあえず「始動してみよう!」とさまざまなこと{エディトリアルデザイン、デザインディレクター、広報ディレクター、編集・構成、リサーチ、プランニング}に挑戦しました。2014年5月から12月までの7ヶ月間で見えてきた自分の強みというのは、限定的な"かたちのデザイン"ではなく、領域横断する"仕組みのデザイン"で生まれる価値観を示す包括的なことだと分かりました。「今何しているの?」と聞かれて困ることがあった前半ですが、現在は、少しずつ明確な方向が見えてきたかなと感じています。

事業の方向性が見えてきたこともあり、よやく事務所名を浸けての活動と活動拠点の確保に向けて動き出しているところです。動きやすさでは栄のような中心部が良いのですが、プロジェクトをともに実行する人びとに活動をきちんと説明することを考えると、旧東海道沿いにある有松を拠点にしたほうが良いかもしれません。また、この事務所もただのハコとして考えるのではなく、ARIMATSU PORTAL; PROJECTを実行したり、地域や状況からものづくりそのものを考え直す機会となるようにしたいです。
フィンランドのアールト大学でデザインラボが地域と学生、研究者と企業、学生と起業家を結びつけていたインキュベーションオフィスにひどく感銘をうけたのを思い出します。異業種のことなので人材系の事業は考えていませんが、インターン生を雇うところから身近な人的資本をどのように流動・定着させることが出来るのか、企業やスタジオという組織ではなく、個々のクリエイターがネットワークする集団として機能する仕組みを実行できないかなと考えています。

昨年の2014年は論文執筆期間もあったので、34冊の書籍を読んでいました。50冊読むことを目標としていたのですが、事業が始まってからはなれない諸作業に手間取り、年末に持ち返すことになりました。2016年までに博士後期課程への進学を検討していることもあるので、2015年は書籍だけでなく論文の読書量も増やしていくことを検討しています。研究機関から離れてしまったことでアクセス料金という障壁が発生してしまったことが残念です。。インクルーシブデザイン×伝統工芸が大きなテーマとなりそうなので、メタ・デザイン関連を中心に進めれればなと。また、この経験がARIMATSU PORTAL; PROJECTでの実践にいい影響がでることを期待しています。

ARIMATSU PORTAL; PROJECTで発行しているフリーペーパー PORTAL; ISSUEでは、トークイベントPORTAL; SALON #01~#04の書き起こしテキストを週力しているのですが、#05~08を収録したISSUE #02の発行が遅れています。春までにPORTAL; ISSUE #02を発行し、後のトークイベントで配布できるように編集を進めています。昨年のPOTAL; SALONでは、「関係と環境」に着目して愛知県を拠点に活動する方を6名、県外で活動する方を2名お呼びしました。今年は開催回数を減らすことを検討しているのですが、その分、内容をより濃いものにして集めのドキュメントとして公開したいです。APPの活動はできるかぎり日英のダブルランゲージでアーカイブ化したいです。


さて、今年はどれだけプロジェクトを濃密なものに出来るか、事業を進行できるか、新しい仲間に出会えるか楽しみです。

2014年に読んだ本まとめ

あけましておめでとうございます。本年も定例化され始めた「読んだ本まとめ」から始めたく思います。
今年はフリーランスとして仕事を始めたこともあり例年に比べて読書量が下がってしまいました。春先と年末にまとめて読み進めた書籍が大半を占めており、社会人が継続的に読書を行うことのハードルを感じました。(ネットへのアクセス時間を減らせば良いだけなのですが…)
論文執筆をしていた昨年に比べ、ジャンルはバラバラになりますが、大別すると「オープンデザイン/デジタルファフリケーション」「インクルージョン/サスティナビリティ」になるかなと。デザインの定義が広がる中で、メタ・デザイン=デザインするためのデザインを考えるにおいて、情報のオープンネスや自由主義的な研究活動を参考に製造業がどのような情報を提供し、デザイナーの活動を同期づけることができるのかを考えたり、自主プロジェクトにおける伝統とデジタルファフリケーションへの応用を考えていたように思います。
また、障害のある人とのものづくりプロジェクトでは、包摂された労働環境の設計に挑戦する上で、インクルーシブデザイン関連の書籍を改めて読み直すことになりました。定量評価に重きを置いた国内の持続可能性に関する議論も、コミュニティや領域横断型組織などに対する質的な研究が進み、柔軟性・継続性・継承性への議論へとシフトしてきているのではないかなと実感することになりました。

2015年の目標として、博士課程への進学も考慮して書籍だけでなく論文も読んでいこうと考えています。大学に所属していないためアクセス料金が発生してしまうのが辛いところですね…。また、積み上げられている洋書を読み進めていきたいです。長々となりましたが、本年一発目のエントリーでした。

2014年の読書メーター
読んだ本の数:34冊
読んだページ数:9134ページ
ナイス数:22ナイス

サイファーパンク インターネットの自由と未来サイファーパンク インターネットの自由と未来
読了日:12月31日 著者:ジュリアン・アサンジ,ジェイコブ・アッペルバウム,アンディ・ミュラー=マグーン,ジェレミー・ジマーマン
批判的工学主義の建築:ソーシャル・アーキテクチャをめざして批判的工学主義の建築:ソーシャル・アーキテクチャをめざして
読了日:12月27日 著者:藤村龍至
「インクルーシブデザイン」という発想  排除しないプロセスのデザイン「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン
読了日:12月26日 著者:ジュリア・カセム
縮小都市の挑戦 (岩波新書)縮小都市の挑戦 (岩波新書)
読了日:12月25日 著者:矢作弘
バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!感想
リバタリアニズムに則り、生物学的な実践をDIYで行なう野生の研究者たちが開く世界は、本書でも紹介されているようにアメリカ西海岸でベンチャー企業が発生していく様と共通している。技術な背景的には、機材のデスクトップ化とオンラインによる学術研究検索コスト低下が上げられている。それ以上に研究を独自に実践し、社会変革を狙うパンク精神と環境をどのように日本で構築できるかについて思考をめぐらしていた。
読了日:12月23日 著者:マーカス・ウォールセン
小豆島にみる日本の未来のつくり方: 瀬戸内国際芸術祭2013 小豆島 醤の郷+坂手港プロジェクト「観光から関係へ」ドキュメント小豆島にみる日本の未来のつくり方: 瀬戸内国際芸術祭2013 小豆島 醤の郷+坂手港プロジェクト「観光から関係へ」ドキュメント感想
地域における外部コンテンツの設置可能性ではなく、外部クリエイターと当事者との関係に着目したアートプロジェクト。地域内部にある魅力や課題、そのソリューションをもコンテンツとして成立するアーキテクチャに注目したい。
読了日:12月19日 著者:椿昇,多田智美,原田祐馬
路上観察学入門 (ちくま文庫)路上観察学入門 (ちくま文庫)感想
赤瀬川氏逝去の報を受けて手にとった一冊。既存の価値を既存の方法でリサーチする学術的研究と違い、潜在的な価値を見出す実験的な試みはデザインリサーチの社会学的な調査とも重なる。ただし、要素の抽出と状況の精細な記述に重きを置いているため、「純粋階段」のように工学的機能が無批判に取り上げられて建築要素の発生に接続されていない点が気になる。見出すことから試作へと繋げる能力が現代では必要ではないだろうか。
読了日:12月17日 著者:
人間の条件 (ちくま学芸文庫)人間の条件 (ちくま学芸文庫)
読了日:12月7日 著者:ハンナアレント
年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学感想
コミュニティが先か、ビジネスが先かとの問いに、本書では後者を上げている。新しい価値が根付き始めた仕事(ITベンチャーなど)は、サービス拡大に連れて人を引きつける力が働き、付随して利害関係者の拡大にも繋がるとしている。地域が面白いのではなく、人が面白いという実感は、日本のまちづくりでもよく分かる。
読了日:11月21日 著者:エンリコ・モレッティ
暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)感想
暗黙知と呼ばれる行動や認知に至るまでの構造を明らかにし、その階層の上下行為を「創発」と名付けている。UI/UXやサービスデザインのフロントエンドの基礎理論として読める。
読了日:10月27日 著者:マイケルポランニー
マクルーハン理論―電子メディアの可能性 (平凡社ライブラリー)マクルーハン理論―電子メディアの可能性 (平凡社ライブラリー)
読了日:10月23日 著者:マーシャルマクルーハン,エドマンドカーペンター
サイレント・ニーズ――ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探るサイレント・ニーズ――ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る感想
いつのまにか蓄積された「当たり前」を崩し、状況の調査からデータを抽出し、洞察として提示するデザインリサーチとはどういうものか理解できる。内容として目新しさは少なく、リサーチャー希望者、クライアント向けといったところ。
読了日:9月3日 著者:ヤン・チップチェイス,サイモン・スタインハルト
スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)
読了日:8月15日 著者:F・アーンスト・シューマッハー
fashionista ファッションの批評誌fashionista ファッションの批評誌
読了日:7月21日 著者:千葉雅也蘆田裕史
vanitas No.002 | ファッションの批評誌vanitas No.002 | ファッションの批評誌
読了日:7月21日 著者:西尾美也,北山晴一,ここのがっこう,南後由和,成実弘至,津田和俊,星野太
vanitas No.003 | ファッションの批評誌vanitas No.003 | ファッションの批評誌
読了日:7月21日 著者:proef,柳田剛,松川昌平,脇田玲,平芳裕子,水野祐,趙知海,大久保美紀,キャロラインエヴァンス,nukeme,koso,久保寺恭子
柳田国男と今和次郎 (平凡社新書)柳田国男と今和次郎 (平凡社新書)
読了日:7月19日 著者:畑中章宏
新・パーソナルブランディング――独立・起業を成功させる18のステップ新・パーソナルブランディング――独立・起業を成功させる18のステップ
読了日:7月4日 著者:西澤明洋
なめらかな社会とその敵なめらかな社会とその敵
読了日:6月19日 著者:鈴木健
SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)
読了日:6月8日 著者:田中浩也
デザイン史とは何か―モノ文化の構造と生成デザイン史とは何か―モノ文化の構造と生成感想
デザイン史とあるが、単に歴史学的にプロダクトやクラフト、デザイン行為を位置付けることについて論じるわけではない。本書では、それらの背景を階層立てて構造的に論じることによって生成されることが何を意味するのかを問うている。デザイン研究者だけでなくモノを取り巻く環境を研究するものにとって入門的な一冊ではないか。
読了日:5月31日 著者:ジョンウォーカー
オープンデザイン ―参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)オープンデザイン ―参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)感想
本書の狙いは、オープンなデザインを生むことではなくデザインをオープンにすることにある。デザインをオープンにするにあたり、その物質だけでなく、道具や場所、さらに、ライセンスなどを含めて公開すること。すなわち、設計・分解・改変を実行する環境の設計が同時に求められている。デザインの対象が複雑化し、デザイナーの役割が製品を生み出すことにとどまらず、物事を整理することや調整することにまで広がり、それを実施する環境を整えて行く(メタデザイン)にまで及んでいることがよくわかる。原文webも良く出来ているので読者はチェッ
読了日:5月25日 著者:BasVanAbel,LucasEvers,RoelKlaassen,PeterTroxler
日本のヒップホップ―文化グローバリゼーションの〈現場〉日本のヒップホップ―文化グローバリゼーションの〈現場〉感想
音楽史ではなく、文化史として日本のヒップホップシーンを捉えた本書。90年〜00年代前半の<現場>を文化人類学的にリサーチをし、日本人のグローバリゼーションやダイバーシティについて記述されている。当時と今では現場・マネタイズのあり方が変わっているように感じるため、現場の再定義が求められるように思える。グローバリゼーションと日本人性についての章がとても面白い。
読了日:5月4日 著者:イアン・コンドリー
HELLO WORLD 「デザイン」が私たちに必要な理由HELLO WORLD 「デザイン」が私たちに必要な理由感想
今年読んだ本の中でダントツに興奮した。歴史とジャンルを次々と横断し、デザインが開いてきた社会の礎を見せてくれる。クリティカルデザイン、サスティナブルデザイン、ソーシャルデザインについて記述されている章が興味深かった。400ページ超もあるが、章立てが年代とは一致しないので2章以降は興味があるところから読み進めることをお勧めする。
読了日:5月3日 著者:アリス・ローソーン
クリエイターのためのアートマネジメント―常識と法律クリエイターのためのアートマネジメント―常識と法律感想
著作権の他、契約書関係の作例が参考になる。気をつけているものの対等な関係で契約を結ぶことは若手クリエイターが難しいという現状に苦しむが、その分きちんと学び対応するしかない。
読了日:4月22日 著者:作田知樹
エコロジーをデザインするエコロジーをデザインする感想
うーん、テーマがビックスケールなものも多く消化不良感が半端ない。短な問題として感じにくいのが問題だろうか。デザインを冠しているのであれば、巨大なシステム設計だけでなくタッチポイントについても記述してもらいたかった。そのため、福祉や建築分野は理解しやすいものだった。
読了日:4月20日 著者:山田利明,河本英夫,稲垣諭
エコロジーをデザインするエコロジーをデザインする
読了日:4月20日 著者:山田利明,河本英夫,稲垣諭
失敗学―デザイン工学のパラドクス失敗学―デザイン工学のパラドクス感想
パパネックは、全ての人間はデザイナーであると記したように、本書では、選択と決定を行う全ての動作がデザインであると冒頭に触れている。成功だけでなく失敗体験もまたデザインの革新と改善に寄与しているということであり、慢心せずに失敗から学ぶことの重要性を説く。失敗はネガティブな廃棄を意味するのでなく、次への指標となる。そこで、日常品をブリコラージュし構築しているプロコンシューマーの実践を見つめるデザインリサーチは、失敗学的な試みであるだろう。
読了日:4月6日 著者:ヘンリペトロスキ,柏木博
インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザインインクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン感想
社会包摂を理念に掲げるインクルーシブデザインの歴史と国内での実践が数多く収録されているだけでなく、発祥の地であるイギリスとデザインの社会関係(ロジャー/ジュリア)、デザインリサーチの範疇(水野・小島)に関する章が非常に興味深い。本書ではユニバーサルデザインとインクルーシブデザインが対比されているが、すなわち、design of〜からdesign for〜へと変容する社会におけるデザイナーとは、複雑さから規範(コンテンツ)を規定することでなく、複雑さから関係(アーキテクチャ)を設計することだと言えそうである
読了日:4月3日 著者:ジュリアカセム,平井康之,塩瀬隆之,森下静香,水野大二郎,小島清樹,荒井利春,岡崎智美,梅田亜由美,小池禎,田邊友香,木下洋二郎,家成俊勝,桑原あきら
グロースハッカーグロースハッカー感想
さっくりと読める内容。グロースハックは、サービスデザインのエンジニアよりの発想と感じる。様々なタッチポイントから予測して広告を打つのではなく、ユーザーのインタラクションによって複数から最適解を選ぶ。対象だけでなく、サービスによって方法が異なるためアーキテクチャの設計も異なると繰り返されている。
読了日:3月20日 著者:ライアン・ホリデイ
Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学感想
ほとんど自己啓発本。プロモーションという立場でMacintoshに関わった著者が、ジョブスの金言()からマッキントッシュの働き方、組織論、リーダーシップ的な要素を抽出。なんといっても目次を読めば殆どの内容が理解できるシンプルさだけは評価したい。
読了日:3月17日 著者:ケン・シーガル
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)感想
本書で取り上げられるマイルドヤンキーの行動(地元思考、安定思考)は、高齢者の行動と共通点が多そう。両者の視点は公共性を建築・デザインやサービスが帯びて行く上で視座となり得そうだが、小さな集団を群として捉えるような仕組みとタッチポイントのデザインは避けられない。
読了日:3月17日 著者:原田曜平
消費社会の神話と構造 普及版消費社会の神話と構造 普及版
読了日:1月12日 著者:ジャンボードリヤール
だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)
読了日:1月9日 著者:鷲田清一

読書メーター

続「仕事をしない日」シャツが出来るまで。

「え、パンチくんって2コ下だったの!?3歳くらい年上だと思ってたわ!」今年に入ってからこのやりとりが3回ほどありました。老け顔の星に生まれた私は、思い起こせば、中3の15歳から社会人と間違えられ始めたのです。大須矢場町へ買い物に出かけると「今日はお仕事お休みですか?」とショップスタッフから声をかけられ、「いえ、まだ学生です。」というやりとりに慣れはじめた頃、まさか『仕事をしない日』と刺繍されたパーカーを来て過ごす将来が訪れるとは予想だにしていなかった。そして今回、パーカーに続いて『仕事をしない日』シャツが届いたので報告をしたい。

「仕事をしない日」パーカーの反響


「仕事をしない日」パーカーが出来るまで - ケンチククラブ

「仕事をしない日」というテキストが浮かんできた理由は前回のブログでも書いたように、大学院で働く場所の研究をしていたことやフリーランスというライフとワークが曖昧な生活をしていることが影響して浮かんだものだ。UNIQLOの素晴らしいマスカスタマイゼーションサービスをブログにまとめたところ、Gunosy*1Facebookのシェアが影響してPVが大幅に増えたことに驚きました。何人かの人は文面をそのままとり「フリーランスの仕事は大変?」や「そのパーカーを着る日なんてあるんですか?」などと聞かれたり、さらには「仕事は選ぶな。」というありがたいご批判も頂戴しております。

僕は仕事をしない日パーカーは仕事をしている日にも着ています。仕事をしない日パーカーを着て打ち合わせをしたり、仕事をしない日パーカーを着てドキュメントを作成していたり、仕事をしない日パーカーを着て午前5時まで展示の設営をしていたり。もちろん仕事をしない日に仕事をしない日パーカーを着ていることもあります。先日、久屋大通公園フリーマーケットに出向いた時は、「今日は仕事がお休みなんですか?」と待ってましたと言いたくなるようなコミュニケーションを取ることも出来ました。仕事中に来ていることは労働時間が伸びがちな日本の労働環境へ皮肉を込めているとはいえ決してひとりデモやプロパガンダのたぐいではなく、NEW YORKとかBROOKLYNと書かれたスウェットと同じような感覚で着ています。

パーカー、そして、シャツへ

パーカーが出来たことやPV数が伸び、作りたい欲求がむくむくと膨れ上がってきました。ワークキャップやネクタイもいいかなと考えていたのですが、まずはもともと考えていたようにオックスフォードシャツでつくってみようと。今回は自分のためだけにつくるのではなく、周りで「欲しい!」と声を上げてくれた人の分もつくることにしました。4人の先輩・友人が手を上げてくれたので、自分の分も含めて6着を注文。(注文の仕方は前回の記事を御覧ください。)

そして今日到着をしたので、シャツ(ブルー・ホワイト)と前回のパーカーを一緒に並べてパシャリ。写真ではわかりにくいけれど、微妙にフォントの太さが異なっていて、シャツのほうが少し太いのが気になる。もしかしたら素材が違うから太くなっているのかもしれないし、発注先の工場が異なるから微妙に刺繍の設定が違うのかもしれない。フォントはどちらも楷書体なので、ほとんど全く同じような刺繍が出来上がるだろうなと想像していたので思わぬ発見だった。

http://instagram.com/p/xBzyqMqe8Y/
仕事をしない日シャツと仕事をしない日パーカー

マスカスタマイゼーションの限界

先のパーカーとシャツでの刺繍されたフォントの違いのように、マスカスタマイゼーションは企業の見えない権力に制約される。用意された選択肢の中から選び、発注することしか出来ないので、『仕事をしない日」』シャツに適した刺繍の調整をすることが出来ないことが課題として上げられる。その分コストが抑えられているとはいえ、システムにデザインが委ねられてしまい、創造性を伸ばすことが出来ない。その点では無印良品刺繍サービスの方が良く出来ているかもしれない。

もう少しフォントを細くしたいとかニッチなニーズ(デザイナーとしては当たり前の欲求だと思うけど。)への対応は結局できていないので、もう少しものを作っていくなら刺繍マシンを使える環境を手に入れるか、柔軟に制作の依頼を受けてくれる業者を探すほうが良いのかもしれない。何より作り手の顔が見えるので、刺繍ミシンをすんげー使いこなすおばちゃんがいたら僕は「ああして。こうして。」と相談できるおばちゃんに頼みたい。でも、見つける・出会うのが難しい…。

http://instagram.com/p/xByPhIKe5u/
Instagram

次は別のサービスへ!?

2つ目の仕事をしない日シャツが手元に届くと、やっぱり続編をつくりたくなってくる。先に上げたワークキャップの他に、日めくりカレンダーもつくりたい。そして、出来る限り既存の仕組みに相乗りするかたちで、小ロットのものづくりをお願いしたいと考えている。個人のものづくりではどうしてもイニシャルで出せる予算はわずかだ。また、わずかでもお金がちょこちょこと入ってくるような仕組みをいくつか持つことを考えているので、欲しいと手を上げてくれ人の分だけ制作することが出来るというのはとても心強い。さて、次は一体どこで何をつくろうか。

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「仕事をしない日」パーカーが出来るまで - ケンチククラブ

有松絞り×デジタルファブリケーションWS@名古屋 レポート #portal_. - ケンチククラブ

*1:Gunosy砲とは、SNSを解析してユーザーの特性に合わせたニュースを配信するアプリGunosyに記事が掲載されると砲弾を浴びたかのように突如として爆発的にページビュー数が伸びること。

Good Job!セミナー 愛知 ~福祉と企業の協働から生まれる地域ブランディング~ に登壇しました

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<名古屋展示の様子>
障がいのある人たちとの協働によって生まれたプロダクトの展示・販売やその取り組みや仕組みの普及を行うGood Job! プロジェクトの東京展示に引き続き、名古屋のナディアパークでの展示に「絞染色 久野染工場×Good Job! プロジェクト」で開発中のレインウェアを出展していました。また、13日(土)には久野染工場専務とセミナーにも登壇させていただき、満席の中で取り組みについてお話させていただきました。セミナーにご参加くださった皆さん、わずか3日間という短い期間の中に訪れてくださった皆さんに御礼申し上げます。

授産品からプロダクトへ

授産品と呼ばれる障害者支援施設から生まれた商品は国内にもたくさんありますが、そのデザイン性の低さのせいか、私は「社会的正義」を購入しているかのような気持ちがしたことがあります。モノが良い場合になおさら強く感じてしまうのは、僕がデザインを学んできたからというわけではないと思います。経産省が「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究」のなかで、狭義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための造形行為とそのディレクション」と定めていますが、広義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための計画・設計行為とそのディレクションディレクション=方向付け、調整、意思決定としています。僕が感じた違和感というのは、思いが意匠造形に反映されていないだけでなく、「福祉×ものづくり」のもつ意義が表面化していなかったからではないのかと思います。

できることから考える/ファシリテーションをする

セミナー内でまちづくりなどを行なうRootsの佐藤直之さんが「まちづくりは事例(箱物・ゆるキャラなど)のコピーが蔓延し、本質的な"町の生活"の改善に影響していない。」と厳しく指摘され、たんぽぽの家理事長の播磨靖夫さんも「福祉も事例(さをり織り・キモカワ雑貨)のコピーが多い」と類する批判をされていました。これではパイの奪い合いとなるだけで、障がいのある人の自立をサポートすることはとても難しいでしょう。当事者の声を聞くことなくカタチから入り、目標と目的を誤認していることが多いのは、ケアする側のスタッフが介助などの作業で考える時間があまり取れないことも原因のひとつとなっていそうです。今プロジェクトにおけるデザインリサーチャーの役割は、スタッフの代わりに当事者の声をきちんと抽出し、製造業やデザイナーとの間を取り持ち、絞りや柄のテキスタイルデザインまで昇華させること。福祉施設の利用者とスタッフがどのようにものづくりへ関わることが出来るのかを見定め、どのようなプロダクトをつくるのか方向づけることでした。
セミナーの中では、私たちが関わったプロジェクトのように、製造業と福祉施設の協働をすれば、このようなポンチョが制作できる事例が成立するわけではないことを念を押してお話させていただきました。必要な情報を抽出し(ワークショップ)、利害関係者間で共有し(デザインディレクション)、プロトタイピングを繰り返すことが求められていたのです。このプロジェクトは「レインウェアの制作」が決まっていたわけではなく、「できること・出来る方法から商品を開発」した結果、レインウェア・ポンチョとなり、「障がいのある人が伝統工芸で働く」環境を獲得する可能性を示そうとしたのです。

ポンチョ開発で見えた「福祉×ものづくり」の可能性

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<東京展示でのレインウェアブース>

9月下旬に開催された初回のワークショップからわずか2ヶ月というスピード開発でもここまで制作することが出来たことで、デザインプロセスの上流に障がいのある人を参画させることの重要性を再認識することが出来ました。ワークショップとデザインのフィードバックを繰り返すことで、関係者間の認識のズレを抑え、やり直しを防ぐことが出来たのです。つまり、利害関係者間の調整役/指揮者であるデザインリサーチャーが主導する「できること」に着目したものづくりから、「伝統工芸の新しい"担い手"としての障がい者」と「労働環境としての"伝統産業"」が見出されたと言えるのではないでしょうか。
障がいをプロダクトの「特長」として引き出すような仕組みを開発工程に導入することで、「何をつくるか」ではなく「どのようにつくるか」「なぜつくるのか」を再認識することが出来るのだろうと考えています。「福祉×ものづくり」が持つ意義をプロダクトに反映し、Good Job! な開発が今後も展開されることを期待しています。

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<名古屋で開催されたセミナー中の様子>

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働き方を見いだせるか、サービスデザインの射程距離 - ケンチククラブ

Reverse Innovation、リバース・イノベーション読了。 - ケンチククラブ

久野染工場×Good Job!プロジェクトの取組みについて話してきました - ケンチククラブ

参考図書

インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

  • 作者: ジュリアカセム,平井康之,塩瀬隆之,森下静香,水野大二郎,小島清樹,荒井利春,岡崎智美,梅田亜由美,小池禎,田邊友香,木下洋二郎,家成俊勝,桑原あきら
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: 単行本
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「インクルーシブデザイン」という発想  排除しないプロセスのデザイン

「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン

  • 作者: ジュリア・カセム,平井康之,ホートン・秋穂
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/06/26
  • メディア: 単行本
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