はじめに。

このブログはPNCH(パンチ)ことKAKERU Asanoのブログです。主に建築やデザインを中心としたエントリーを書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

■Profile
PNCH (パンチ)
1987年生まれ。男。フリーランスデザイナー・リサーチャー。京都工芸繊維大学大学院修了。CONNECTARIMATSU PORTAL; PROJECT共催。
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趣味 読書、DJ(Sbstrm)

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Good Job!セミナー 愛知 ~福祉と企業の協働から生まれる地域ブランディング~ に登壇しました

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<名古屋展示の様子>
障がいのある人たちとの協働によって生まれたプロダクトの展示・販売やその取り組みや仕組みの普及を行うGood Job! プロジェクトの東京展示に引き続き、名古屋のナディアパークでの展示に「絞染色 久野染工場×Good Job! プロジェクト」で開発中のレインウェアを出展していました。また、13日(土)には久野染工場専務とセミナーにも登壇させていただき、満席の中で取り組みについてお話させていただきました。セミナーにご参加くださった皆さん、わずか3日間という短い期間の中に訪れてくださった皆さんに御礼申し上げます。

授産品からプロダクトへ

授産品と呼ばれる障害者支援施設から生まれた商品は国内にもたくさんありますが、そのデザイン性の低さのせいか、私は「社会的正義」を購入しているかのような気持ちがしたことがあります。モノが良い場合になおさら強く感じてしまうのは、僕がデザインを学んできたからというわけではないと思います。経産省が「デザイン導入の効果測定等に関する調査研究」のなかで、狭義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための造形行為とそのディレクション」と定めていますが、広義のデザインを「あるコンセプトや想いを具現化するための計画・設計行為とそのディレクションディレクション=方向付け、調整、意思決定としています。僕が感じた違和感というのは、思いが意匠造形に反映されていないだけでなく、「福祉×ものづくり」のもつ意義が表面化していなかったからではないのかと思います。

できることから考える/ファシリテーションをする

セミナー内でまちづくりなどを行なうRootsの佐藤直之さんが「まちづくりは事例(箱物・ゆるキャラなど)のコピーが蔓延し、本質的な"町の生活"の改善に影響していない。」と厳しく指摘され、たんぽぽの家理事長の播磨靖夫さんも「福祉も事例(さをり織り・キモカワ雑貨)のコピーが多い」と類する批判をされていました。これではパイの奪い合いとなるだけで、障がいのある人の自立をサポートすることはとても難しいでしょう。当事者の声を聞くことなくカタチから入り、目標と目的を誤認していることが多いのは、ケアする側のスタッフが介助などの作業で考える時間があまり取れないことも原因のひとつとなっていそうです。今プロジェクトにおけるデザインリサーチャーの役割は、スタッフの代わりに当事者の声をきちんと抽出し、製造業やデザイナーとの間を取り持ち、絞りや柄のテキスタイルデザインまで昇華させること。福祉施設の利用者とスタッフがどのようにものづくりへ関わることが出来るのかを見定め、どのようなプロダクトをつくるのか方向づけることでした。
セミナーの中では、私たちが関わったプロジェクトのように、製造業と福祉施設の協働をすれば、このようなポンチョが制作できる事例が成立するわけではないことを念を押してお話させていただきました。必要な情報を抽出し(ワークショップ)、利害関係者間で共有し(デザインディレクション)、プロトタイピングを繰り返すことが求められていたのです。このプロジェクトは「レインウェアの制作」が決まっていたわけではなく、「できること・出来る方法から商品を開発」した結果、レインウェア・ポンチョとなり、「障がいのある人が伝統工芸で働く」環境を獲得する可能性を示そうとしたのです。

ポンチョ開発で見えた「福祉×ものづくり」の可能性

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<東京展示でのレインウェアブース>

9月下旬に開催された初回のワークショップからわずか2ヶ月というスピード開発でもここまで制作することが出来たことで、デザインプロセスの上流に障がいのある人を参画させることの重要性を再認識することが出来ました。ワークショップとデザインのフィードバックを繰り返すことで、関係者間の認識のズレを抑え、やり直しを防ぐことが出来たのです。つまり、利害関係者間の調整役/指揮者であるデザインリサーチャーが主導する「できること」に着目したものづくりから、「伝統工芸の新しい"担い手"としての障がい者」と「労働環境としての"伝統産業"」が見出されたと言えるのではないでしょうか。
障がいをプロダクトの「特長」として引き出すような仕組みを開発工程に導入することで、「何をつくるか」ではなく「どのようにつくるか」「なぜつくるのか」を再認識することが出来るのだろうと考えています。「福祉×ものづくり」が持つ意義をプロダクトに反映し、Good Job! な開発が今後も展開されることを期待しています。

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<名古屋で開催されたセミナー中の様子>

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久野染工場×Good Job!プロジェクトの取組みについて話してきました - ケンチククラブ

参考図書

インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

  • 作者: ジュリアカセム,平井康之,塩瀬隆之,森下静香,水野大二郎,小島清樹,荒井利春,岡崎智美,梅田亜由美,小池禎,田邊友香,木下洋二郎,家成俊勝,桑原あきら
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: 単行本
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「インクルーシブデザイン」という発想  排除しないプロセスのデザイン

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  • 作者: ジュリア・カセム,平井康之,ホートン・秋穂
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/06/26
  • メディア: 単行本
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ソーシャルデザイン (アイデアインク)

ソーシャルデザイン (アイデアインク)

久野染工場×Good Job!プロジェクトの取組みについて話してきました

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本日は名古屋市新栄町にあるコミュニティ・カフェ パルルにて、運営者の森田恭平くんにお誘いいただき『久野染工場×Good Job!プロジェクトの取組み』についてお話させてもらいました。伝統工芸×障がい者就労の取り組みはすでに事例があるのですが、このプロジェクトで僕がデザインリサーチャーとして何をしてたのかを発表しています。

当初、Good Job!からプロジェクトへお誘いいただいた時は制作するプロダクトは未定で、伝統工芸と障害者就労支援からなにかできないかというものでした。伝統産業の後継者不足と障害者就労の少ない職場と低賃金という大きな課題があり、大きなテーマは、『愛知県の伝統産業に障がい者が参画できる働く場所をつくろう。』と設定されたのが2014年8月ごろでした。

まずデザインリサーチャーとして、両者の相互理解を促すワークショップの設計と強みを引き出すプロダクトを導き出すということが求められました。デザインワークショップの設計は、何ができるのか、どんな方法でできるのかを利用者+スタッフの関係から探るもので、内容を基本的な手ぬぐいの制作から徐々に負荷を上げ、制作する状況を観察していました。その結果から100を超える有松絞りの技法から利用者+スタッフの特徴に合ったものを選択し、次のワークショップにアレンジをしていきました。

ワークショップの裏では具体的にこのプロジェクtでは何を制作するのかを検討していました。染色とプリント、職人と障がい者、一点ものと大量生産など比較して対象を絞っていった所、アウトドア/ヒッピー/DIY層が発見され、いくつかの布ものから染色で柄が出しやすく縫製の少ないポンチョを選択しました。そこでテキスタイルデザイナーへと発注し、柄とパターンをWSの結果を反映しながら検討していいきました。どのようなプロダクト・ターゲットか方向を定め、テキスタイルデザイナーと染色業者間の調整を図る立場でした。

つまり、[福祉施設⇔染色工場⇔デザイナー]のファシリテーションとプラットホームの構築が求められたのです。ワークショップの結果をデザインに還元し、デザインを次のワークショップに反映する。今プロジェクトにおけるデザインリサーチャーの役割は、こうした業種を超えた対話を促すコミュニケーションの場を設計すること。ポンチョのデザインがコミュニケーションを誘発し、創造性を育む関係と環境が生まれたのではないかと考えています。

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【『愛知県で伝統工芸の中に障害のある人が働く場所をつくりたい!』クラウドファンディング締め切り直前説明会】 | Facebook
話し手:浅野 翔
聴き手:森田恭平
日 時:2014年11月22日(土) 13−14時半
会 場:パルル parlwr(名古屋市名古屋市中区新栄2-2-19)
主 催:森田恭平

Good Job!プロジェクト展覧会

展覧会概要 | Good Job! 展 2014-2015
愛知県
2014年12月12日(金)~14日(日) 10:00〜20:00
国際デザインセンター・デザインギャラリー/ナディアパーク2Fアトリウム・イベントスペース
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄三丁目18番1号 ナディアパーク・デザインセンタービル

関連書籍

インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

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  • 作者: ジュリアカセム,平井康之,塩瀬隆之,森下静香,水野大二郎,小島清樹,荒井利春,岡崎智美,梅田亜由美,小池禎,田邊友香,木下洋二郎,家成俊勝,桑原あきら
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不便から生まれるデザイン: 工学に活かす常識を超えた発想 (DOJIN選書)

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最近良く言われること

1. 忙しそうだね。

→今週末に自主プロジェクトの「誰のための有松絞り」展があって、来週末からは染色工場で福祉施設とレインポンチョつくってるGoodJob!プロジェクトの巡回展が始まるので架橋が続いています。再来週からはわりと自由になるので声かけてください!

2. 何屋さんなの?

→ベースのお仕事は「ブランディング」になっています。企業ブランディングや地域ブランディングの一環で、広報やったり企画やったり。他には編集・構成もやっています。腰を据えてリサーチベースでデザインやりたい。「デザインするための状況をデザイン(する) by Teruhiro Yanagihara」している最中です。

3. 食べれてる?

→もろもろを集めるとちょっと頑張ったバイトくらい。フリーで始めて半年ですが、ひとつひとつの繋がりがすこしずつ実を結んでいる実感は有ります。


気にして声をかけてくださる方々がいらっしゃるのはありがたいことです。なんとかまだ元気にやっております(笑)
気がつけば年越しまで待ったなしにスケジュールが詰まり始めました。まーだ実績らしいものは出てきてはいないのですが、これまでとは違った面白いことに挑戦しているつもりです。もっと批評的な視点でものごとを切り開いていきたいのですが、まずはものづくりの現場から建築とデザイン・マネジメントのバックグラウンドを活かした働きをしたいです。

7年ぶりに腰を落ち着かせている名古屋にはまだまだ知らない面白いこと、人、場所があるなと。ARIMATSU PORTAL; PROJECTなどで色々な人を呼んで主体になったり、逆にこちらが出かけることで名古屋を客観的に見れたりするので面白い。「名古屋に行くよ!」という人が来たら連れて行きたい場所が増えているので、ぜひ遊びに来てください。

なんだかんだ言っても人のつながりが仕事であったり活動につながるのだということを日々感じております。有松の染色工場で働く中で地域のイベントの広報ディレクションに繋がったり、APPの活動でフリーペーパーをつくるなかで編集・構成のお仕事に繋がったり、先輩からお仕事を回してもらったりと。まだまだ活動範囲や仕事の規模は小さいですが、デザインリサーチを通したブランディングや企画の仕事を増やしていきたいなと思います。

「仕事をしない日」パーカーが出来るまで

http://instagram.com/p/uHOT5tqe8v/
「仕事をしない日」パーカー届いた

「仕事をしない日」パーカーとは、読んで字のごとく胸元に刺繍で「仕事をしない日」と入れているだけのパーカーだ。このパーカーを着ているだけで仕事をしない日を宣言できるので、ビールをそこいらで飲んでいようが、お店に遊びに行こうが、友人と会っていようが誰にも文句を言われない。モバイル機器の発達によって誕生した小忙しい現代人にとっては必要なオフを察してもらうコミュニケーションツールとして制作した、なんてことはまったくない。実はコレ、ユニクロで作ったものなんです。

「仕事」という言葉について


そもそものきっかけはこのツイートなんですが、「仕事」という言葉と刺繍に着目したのには理由がある。話はさかのぼるが、このツイートをした時期も僕は「小豆島建築ミーティング vol.2」へ参加するために小豆島に渡っていた。同じく、アート小豆島・豊島2014のプログラムで滞在していたデザイナー 吉行良平さんがあるTシャツを着ていた。白いTシャツの胸元には、彼のデザイン事務所の名前でもある「吉行良平と仕事」と刺繍が施されていた。うーん、かっこいい。「仕事」という言葉になんだか惹かれていた。「仕事」という言葉への愛が屈折するかたちで、「仕事をしない日」へと結びついていった。

刺繍はユニクロ

「仕事」という言葉からはホワイトカラーがイメージされ、シャツに皮肉ぽく刺繍を入れようと考えていたのだけれど、どこで刺繍を入れたらいいのかわからない。町工場で野球とか作業着に社名や名前を入れているところをテレビで見たことがあったけれど、自分の生活圏で刺繍をやっているところなどまったく知らない。インターネッツで「個人 刺繍 名古屋」と検索してみたところ、持ち込みができるところもあったけれど、ロット数が必要みたいだったり、よく分からなかった。そういえば、無印でレーザーカッターとかコンピューターミシンとかやってたなぁ、と頭をよぎった頃、友達から「ユニクロ・カスタマイズ」というサービスを教えてもらった。

ユニクロ UNIQLO CUSTOMIZE|トップ -ユニクロカスタマイズ[customize.uniqlo.com]

あの世界的なファストファッション企業・UNIQLOが手がける、自社製品をオーダーメイドでデコすることができるものだ。プリントや刺繍などをUNIQLOで販売するものに施し、なんと1つから商品を購入することが出来る。

デザインの選択肢が少ない

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画面右上にある「DESIGN デザイン作成」をクリックすると、刺繍やプリントから選ぶことが出来る。今回は当然刺繍だ、間髪入れず「刺繍」をクリックするとまずは素材となる商品を選ぶ画面となる。パーカーが可愛い。シャツも皮肉で面白いけれど、ゆるめのパーカーにしようと数秒で心変わりをし、赤色の「刺繍する」ボタンをクリック。(まだ刺繍ができるのはシャツやカーディガンに限られているが、いずれはパンツとかアウターにも出来る日が来るのだろうか。)
すると刺繍のバリエーションを選ぶ画面となる。テキストのみを刺繍する「ワード」とワンポイントイラストと短いテキストを入れる「ワンポイント」だ。もちろん、「ワード」を選び、10文字を2行まで入れることの出来る「小・小」をクリックし、ようやく画像のような入力画面となる。
変更できる要素は、テキスト・フォント・文字色の3項目のみ、場所は左胸に固定されているので、1行目か2行目のいずれかに入れることで上下するくらいしか出来ない。僕は一行目に「仕事をしない日」と入力し、和文フォントの「楷書体」で、文字色は「ブラック」を選択した。「このデザインで注文する」をクリックし、スマートにカードで支払いを済ませ、発送先を入力する。

加工賃はロット数によらない

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注文から到着まで約10日間かかるが、焦る必要はない。気長に到着を待つばかりだ。刺繍の加工賃は+¥1,140で、これは商品数を1個だろうが100個だろうが変わらない。もともと小ロットを想定しているのだろう、個人ユーザーにとってはとても嬉しい。刺繍は名入で¥500のところもあるので、10文字でこの値段は良心的なものだと思う。また、UNIQLOというプラットフォームを使っているので、サイズもSMLと選ぶことが出来、値段も変わらないのが嬉しい。ただ、この刺繍はどこでどうやって制作されているのかわからない。この値段で制作できるのはなんでだろうか、コンピュータなのか人力か…。

しっかりとしたクオリティ

UNIQLOの製品クオリティをもったまま、刺繍のされたパーカーが届いた。ぱっと見の印象は悪くはない。ほつれていたり、ずれていたりとすぐにダメだなと思うほどのものはまったくない。ここのクオリティー管理もUNIQLOがやってるのだろうか、興味深いところだ。お試しで制作してみたのだけれど、これならシャツに刺繍入れてもよいかもしれない。
オリジナルのテキストが刺繍で入っていると、パーカーの紐やカタチがUNIQLOのものだとわかるようなものでもなかなか気が付かれない。どこのブランドですか、どこで売ってるんですか、いくらですか、と聞かれるのが面白い。5千円弱のUNIQLOのパーカーには見えないらしい。そんな反応が来るとは思わなかったので、ちと嬉しい。

この値段でふざけた刺繍を入れた製品クオリティを保つ自分だけのものが手に入るのは非常に嬉しい。愛着も湧くし、これから生まれるコミュニケーションもある。仕事をしていない日に着てても当然いいし、あえて仕事をしている日に来ていくのもまたいい。仕事をしない日シリーズは今後も作り続けていきたい。

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