2021年に読んだ本

2021年は前半はよかったんだけど中盤から後半にかけて忙しさを言い訳に読書量が増えなかったのが残念だ…。ジェンダーやケアといった課題を取り扱った書籍や、それと合わせてリフレクションやオープンダイアローグといった内省についての書籍を手に取っていた1年だったようです。

2021年の読書メーター
読んだ本の数:33
読んだページ数:8311
ナイス数:23

認知症世界の歩き方認知症世界の歩き方感想
当事者の声とともに認知症の『世界』に焦点をあてた本書は、解決を求めるのではなく、寄り添うためのツアーガイドとなる。介護の重苦しい部分をあえて見せず、ポジティブな表現が多い。当事者や支援者の悩みにあえて一定の距離を取り、地図を眺めるように俯瞰する視座を与えている。巻末には相談先などの情報がまとまっており、ケーススタディ別の索引もあるため実利的な内容を逆引きすることにも使える。家族に認知症の方を迎える前に読んでおくことで、当事者ともにパニックになることを避けられるだろう。
読了日:12月31日 著者:筧 裕介
認知症世界の歩き方認知症世界の歩き方
読了日:12月30日 著者:筧 裕介
近代の〈物神事実〉崇拝について ―ならびに「聖像衝突」近代の〈物神事実〉崇拝について ―ならびに「聖像衝突」
読了日:12月30日 著者:ブリュノ・ラトゥール
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版感想
2021年に読んだ書籍の中で1番よかった。リフレクションやオープンダイアローグと合わせて読むことで、ビジネス的な側面やまちづくりにおける暴力性に直面したときにも有効だろう。一方で、デザインのような介入の仕方とは異なるコミュニケーションが必要となるため、デザイン人類学などを参考に、関わり方を検討していきたい。
読了日:12月09日 著者:マーシャル・B・ローゼンバーグ
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセスTHE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
読了日:11月21日 著者:福田 康隆
ぼくは猟師になったぼくは猟師になった
読了日:11月01日 著者:千松 信也
ケアするのは誰か?: 新しい民主主義のかたちへケアするのは誰か?: 新しい民主主義のかたちへ
読了日:10月29日 著者:ジョアン・C. トロント,岡野 八代
説教したがる男たち説教したがる男たち
読了日:10月20日 著者:レベッカ ソルニット
くらしのアナキズムくらしのアナキズム
読了日:10月20日 著者:松村圭一郎
リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術
読了日:08月07日 著者:熊平 美香
つくる理由 暮らしからはじまる、ファッションとアートつくる理由 暮らしからはじまる、ファッションとアート感想
「つくる人やつくる場所を住む場所から切り離してしまっては、何か大切なものが失われてしまうのではないだろうか?その問題提起が本書の存在理由(P 293)」

非常に共感する。

社会との関わりの中でつくる動機を鮮明に描くインタビュイーたち。グローバルな議論からローカルな課題まで、関わり方はさまざまだがつくることで重要な役割となっている。

わたしたちのつくる場所性が物理空間から情報空間へと広がる今、ハイブリッドな産地の様相を描く必要を感じる。産地の未来。
読了日:08月04日 著者:林央子
ヘルスデザインシンキング デジタルヘルス/ヘルステックに向けて:医療・ヘルスケアのためのデザイン思考実践ガイドヘルスデザインシンキング デジタルヘルス/ヘルステックに向けて:医療・ヘルスケアのためのデザイン思考実践ガイド
読了日:07月10日 著者:ボン・ク,エレン・ラプトン
オープンダイアローグがひらく精神医療オープンダイアローグがひらく精神医療
読了日:07月03日 著者:斎藤 環
マツタケ――不確定な時代を生きる術マツタケ――不確定な時代を生きる術感想
不安定な生産がゆえに高価な贈り物として取引されるマツタケを介して見る、人間を含めた多種多様な種の営みや生態系。サルベージという概念についてしっかりと理解できたとは言い難いが、ポスト人新生を考えるための「共生」や「脱中心化」的な概念の一端をここに見ることができる。
読了日:06月19日 著者:アナ・チン
マツタケ――不確定な時代を生きる術マツタケ――不確定な時代を生きる術
読了日:06月19日 著者:アナ・チン
企業と社会―サステナビリティ時代の経営学企業と社会―サステナビリティ時代の経営学
読了日:06月04日 著者:谷本 寛治
たぐい vol.3たぐい vol.3
読了日:05月28日 著者:奥野 克巳,近藤 祉秋,足立 薫,石倉 敏明,井上 太一,大小島 真木,金子 遊,上妻 世海,逆卷 しとね,清水 高志,シンジルト,菅 啓次郎,津田 敦,能作 文徳,古川 不可知,MOSA
創刊号 特集・未来哲学とは何か創刊号 特集・未来哲学とは何か感想
近代の終焉に伴う新たな情報テクノロジーの時代における哲学とは何かを語られているのかと思ったが、日本やアジアなど東洋哲学や思想を再解釈するような内容が多くて少し期待外れな感じだった。コロナ禍という惑星課題を前に、まさに近代を終えることができた国家とそうでない国家の溝が深まりを見せている。起こりうる変化を多元的に捉え、これからの未来を見据える可能性を東洋哲学に見出してるのは興味深い。
読了日:05月25日 著者:末木文美士,山内志朗,中島隆博
人間の学としての倫理学 (岩波文庫)人間の学としての倫理学 (岩波文庫)感想
今の自分にとっては難解な1冊であることが分かった。人と人との間にある理を、欧米で議論されていた現象学存在論を紐解き、再構成して日本における倫理学としようとしていることはわかった。その現象学存在論への理解が不十分なため、何を再構築することで人間を描き、どう学ぶことが倫理学なのか理解できなかった。原論倫理学を読んだ方が理解しやすいとあったので、次はそちらを手に取りたい。
読了日:05月17日 著者:和辻 哲郎
メイキング 人類学・考古学・芸術・建築メイキング 人類学・考古学・芸術・建築感想
社会人類学者ティム・インゴルドが、人類学・考古学・芸術・建築という4つのA学問領域を横断しながら「つくること」の相互作用について論じられていく。物質性と文脈を往来する、人を社会と繋ぐエージェントとしてのモノは、人類学的な時間軸と民族誌的な物質としての切断の中から、応答することで生まれると言う。ドゥルーズ=ガタリなどを引用しながら、本質的な物質性はなく、応答の中でしか意味性を持たない。考古学的な素材としての切断や、応答としてのドローイング・設計やデザインに人類学との接点を見出しているようだ。もう一度読みたい
読了日:05月04日 著者:ティム インゴルド
縁食論――孤食と共食のあいだ縁食論――孤食と共食のあいだ感想
とても面白くいっきに読み進めた。孤食と共食のあいだを縁食と位置付けるのは、私的空間や公共空間ではなく居心地の良い第3の場、サードプレイスのようだと思っていたところ、最後の章でまさに触れられていた。
管理や計画から逸れたところに居心地の良さがあるのに、それを再現したいと思うデザインの下心が僕にはある。どう折り合いをつけることができるのか悩みは尽きない。
読了日:04月23日 著者:藤原辰史
文化人類学の思考法文化人類学の思考法
読了日:04月02日 著者:
シナリオ・プランニング――未来を描き、創造するシナリオ・プランニング――未来を描き、創造する
読了日:03月20日 著者:ウッディー・ウェイド
ストリートファイト: 人間の街路を取り戻したニューヨーク市交通局長の闘いストリートファイト: 人間の街路を取り戻したニューヨーク市交通局長の闘い感想
長年ニューヨークで交通政策に携わり、政策や事業を取りまとめた人間らしい街路を管理運営するための手引き、ストリートデザインマニュアルなど、多くの実績を上げたジャネット氏の闘争が語られる本書。書名の如くさまざまな政治的な対立、衝突を乗り越えて実行してきた数々のプロジェクト、そこにかけられた熱意。数々のファイトの記述には冗長的な部分もあるが、歩行者空間を取り戻す戦略・戦術レベルの視点に驚かされる。歩行者空間から公共交通路、都市レベルまでを行ったり来たりするスケール感を見習いたい。
読了日:03月18日 著者:ジャネット・サディク=カーン,セス・ソロモノウ
ハーバード・ビジネス・レビュー意思決定論文ベスト10 意思決定の教科書ハーバード・ビジネス・レビュー意思決定論文ベスト10 意思決定の教科書感想
経済学を中心とした論文集。合意形成を図るための技術書ではなく、個人や組織で使用可能なさまざまなバイアスを避けるセルフ評価やプロセスを理解することができる。共創の場で適切な問いや対話が求められているからこそ、適切な決定が重要になっていることを改めて認識する。不確実な時代を生きるからこそいかにバイアスから離れて意思決定できるか。その一点に尽きる。
読了日:02月23日 著者:
うしろめたさの人類学うしろめたさの人類学
読了日:02月16日 著者:松村圭一郎
機会発見――生活者起点で市場をつくる機会発見――生活者起点で市場をつくる
読了日:02月12日 著者:岩嵜博論
ほどよい量をつくる しごとのわほどよい量をつくる しごとのわ感想
脱成長時代のものづくりに考えながら手にした一冊。
コミュニティの内輪ノリを脱しつつ、どうしたらビジョンを共有しながらものをつくることができるのか。その実践者たちへのインタビューに、著者のさりげない視点が添えられている優しいテキスト。
読了日:02月02日 著者:甲斐かおり
Weの市民革命Weの市民革命感想
2020年は将来的に大きな転換点となることは間違いない。さまざまな意識変革が起こるの中で、どれもいきなり起きたわけではなく、世界各地でおこなわれる小さなムーブメントが不平等さとコロナ禍で大きく爆発しただけだとわからせてくれる本書。あまりにも情けない政府を前に私たちはどう持続可能な未来を構築していくのか、分かり合えなさと向き合うのかを考えさせてくれる。
読了日:01月21日 著者:佐久間裕美子
日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化感想
ソーシャルイノベーションやサスティナブルデザインの第一人者であるエツィオ・マンズィーニ。コモンズや協働的関係などをひきつつ、新自由主義による行き過ぎた個を批判し、デザイン文化の獲得を諭す。注釈にはハイパーローカルなプロジェクトに、ともに参加するためのツール、手法、思想などが多数あるのでひとつずつチェックしたい。
読了日:01月15日 著者:エツィオ・マンズィーニ
人新世の「資本論」 (集英社新書)人新世の「資本論」 (集英社新書)感想
なるほど『自己抑制を自発的に選択すれば、それは資本主義に抗う「革命的」な行為になる(斉藤幸平(2020)、人新世の「資本論集英社新書)』から、完全に共感するわけではないけど、とりわけ最近「アナーキズム」に興味持ってるんだな、自分は。
読了日:01月13日 著者:斎藤幸平
ストリートデザイン・マネジメント :公共空間を活用する制度・組織・プロセスストリートデザイン・マネジメント :公共空間を活用する制度・組織・プロセス感想
法や縦割り組織によってその活用主体がわかりにくい、ストリートデザインについて国内外の事例や制度・手法から読み解く一冊。網羅的なのでこれを手がかりに、地域ごとの具体的なアクションを考えるのが良さそう。
読了日:01月05日 著者:出口 敦,三浦 詩乃,中野 卓,中村 文彦,野原 卓,宋 俊煥,村山 顕人,泉 山 塁威,趙 世晨,窪田 亜矢,長 聡子,志摩 憲寿,小﨑 美希,廣瀬 健,吉田 宗人
アナキズム入門 (ちくま新書1245)アナキズム入門 (ちくま新書1245)
読了日:01月03日 著者:森 元斎

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