18 アムステルダム、バルセロナ: ハイネケンミュージアムで生ビールを

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Heineken Museum
アムステルダム最終日は、午後からバルセロナへ向かうこともあり中央駅近郊で観光。オランダ発のビールメーカー、ハイネケンのミュージアムを訪れる。入場料18€とちと高めだが、できたてのビールを三杯飲むことができる。

展示は、創始者の物語、ハイネケンビールができるまで、そしてビールの美味しい楽しみ方という三部構成で、きちんと見ていると2時間ちかくになる。シュツットガルトで見たメルセデスベンツミュージアムのようにハイネケン隆盛の社会的背景をきちんと説明しているためわかりやすい。また、人形を使ったアニメーションやインタラクション、体感型の展示も多くあり大人から子供まで楽しめる。終盤のCSRに触れた展示では、大企業が持つ社会的責任についてきちんと説明されていて非常に好感の持てる内容だった。フレッシュビールはとても美味しかった。

ほろ酔い気分で中央駅に戻りつつ、赤線地帯を覗く。日中であるけれども、飾り窓の中には水着やきわどい姿をしていた女性がいる。セックスショップやセックスショーなどもその周囲にはたくさんあり、エロ全開。それを見にたくさんの観光客がいる。話には聞いていたが、本当にガイドツアーにこの地区が組み込まれているのだ。男性だけでなく老若男女が観光にきており、妙な熱気を帯びていたのが印象的だった。一体夜にはどんな雰囲気を醸すのか、また訪れてみたい。

その後、空港に向かいバルセロナへ向かう。飛行機のマシントラブルで出発が二時間半も遅れ、深夜一時にホテルへ到着。ここで両親と合流し、三日間バルセロナを観光をする。

オランダ・アムステルダムで撮影されたドキュメンタリー"Creativity and the Capitalist City"が映しだす創造都市とは

Creativity and the Capitalist City [Japanese] from creativecapitalistcity on Vimeo.


先日、ライプツィヒでお会いした大谷さんが日本語の翻訳責任を務めたドキュメンタリーを紹介していただいた。このドキュメンタリーは、アメリカ経済学者リチャード・フロリダが提唱した「創造都市」がなぜ世界中で注目を集め、都市政策として試行されているのかをアムステルダムの活動を中心に記録し、2011年に公開されたものだ。そしてつい先日、大谷さん監修のもと日本語字幕バージョンがインターネット上で公開された。

映像は1.CREATIVITY AND SQUATTING、2.CREATIVE SECURITY: SQUATTING VS. ANTI-SQUAT、3.INSTITUTIONAL CREATIVITY: BREEDING PLACES、4.WHAT HAPPENS WHEN THE HYPE IS OVER? THE RIGHT TO THE CITYと四つの章で構成されている。SQUATとは直訳すると不法占拠のことで、空家や有給不動産に契約なしに「住む」ことをいう。戦後の住宅不足や急激な不動産価格の高騰により住居を得られないもの、職場を得られないものが空いている建物を占拠し、生活を始めたことから始まる。個がネットワークを生み、経済や文化が生まる。魅力的なものがあるため人が集まり経済効果が巨大化したことが評価され、後に合法化される。イギリスやオランダでは一年以借り手のつかない不動産に「スクォット」することは法で問われなくなっている。

スクォットは都市に好ましいことばかりもたらすのだろうか?政策として創造都市戦略が選択されるが、警察や不動産は管理が行き届きにくくなり、犯罪の温床になると嫌う。第二章では、やっかいな侵入者を合法的に迎えるための不動産仲介業者の活動が紹介される。スクォッターらは、「安価」で「広いスペース」を求めてくることを逆手に取り、空いた不動産の「住み込み」管理者として契約をするようにした。不届きものが侵入したり建物を破壊するようなことがあれば彼らは不動産業者に連絡をする義務を与えられ、その建物内に「住み込む」権利を手に入れることができる。立退きを強制されたりする不安定なスクォットとはまた別のアムステルダムで生活をする方法の一つだ。どちらも不安定な生活スタイルに違いないが、創造性を都市にもたらす者が都市から追いやられている現状が伝わってくる。創造都市戦略は、創造性を都市に呼び込むことを謳いながら、実際には創造性の作り手を締め出すという矛盾を孕んでいる。

こうした矛盾を解消しようとアムステルダム市は「育成所」と呼ばれる空間をアーティストらに貸し出すことを決める。映像では2000年に開催された造船上跡地の利用に関するコンペティションで採択されたアーティスト村が紹介される。自身もアーティストであるBart Stuartがインタビューの中で、「造船上の建物自体は買うことはできても我々を買うことはできない」と言う。つまり、創造都市の価値とは、不動産にあるのでなくそこに住む人々にあるということだ。無計画さから生まれた空間を計画するという選択が政策に求められている。その解答の一つとして、アムステルダムのウェアハウスエリアに注目が集まる。

戦後の住宅供給難に始まり、ヒッピーらによる革命思考と結びついたスクォッター運動は、近年において創造都市戦略と結びつく。しかしここで言われる戦略とはつまり、資本主義社会における経済戦略のことであり創造階級と呼ばれる人々やそのための土地をどう確保していくかという持続可能な社会制度設計とは離れている。不動産戦略として、文化広告戦略として創造都市の創出がいかに矛盾を貼らんでいるかがこれまでの章で明らかだ。バンクーバー大学で地理学を教えるJamie Peck教授は、創造都市政策は不平等さを正当化する点において新自由主義となんら変わりがないと指摘をする。「都市を市民に取り戻す」というような方向で取り組む必要があるときに、計画を超えた計画、計画をしない計画に人々がどのように参画することができるかを突きつける。

映像では、都市のステークホルダーとして利用者からサービスプロバイダ、行政までインタビューが記録されている。言うまでもなく、トップダウンボトムアップかという話ではない。いかにこのステークホルダーが自由に平等に何時でも参加することができ、それを効果的に反映することができるかということだ。民主主義2.0のように流動的で巨大なデータのなかで立ち上がる社会を待つわけでもなく、革命を起こすべく立ち上がるわけでもなく、ただ現実的に粛々と活動を起こすアクティビストのインタビューが個人的に突き刺さる。理想に飲み込まれるわけでもなく、活動の中で周囲を取り巻く様々な社会との距離を図る姿は現代社会に求められるデザイナー像と重なる。非常に刺激を受ける内容で、私自身も批評的に活動を継続していきたい。

17アムステルダム: テクノミュージックの祭典、Awakenings Festival 2013へ

Awakenings Festival Report - June 29, 2013 - Recreatiegebied Spaarnwoude
17日目、ランタン祭と同じく唯一フィックスだった予定がこのAwakenings Summer Festivalだ。ダンスミュージックにおいて、アムステルダムはロンドン、ベルリンに続き世界へ大きな影響を与えた街だ。Jeff MillsCarl Coxなど伝説級のテクノDJが集まり、11~23時までぶっ続けでビートを鳴らすこのフェスに行こうと決めたのは四月ごろだった。昨年八月、フィンランドで参加したFlow Festivalがすこぶる気持ち良く楽しかったので国外フェスを探していたところ見つけた。チケットは53€くらいで屋内外に会場もが8つある。

僕がダンスミュージックを聞き始めた頃、すでにJeff Millsは「宇宙人」と呼ばれており、ショーウィンドウの中でDJを行うパフォーマンスExhibitionの動画がYOUTUBEにアップされていた。時代はハードテクノらミニマルテクノへ移って行ってもなお彼の存在はレジェンドだった。それはWIREとDOMMUNEにストリーミングで参加したということも関係ある。生で見るのはそれだけ価値があるんだ、と思ったほどだった。それが今、ここで体験できると思うとつい笑顔になってしまう。13時からのスタートと早い時間にも関わらず、テントにはたくさんの人が彼を待っている。圧倒的な貫禄と細かいテクニックでビルドアップして行くスタイルはさすがだった。時代じゃないという者もいるが、今もなお輝くDJだ。

12時間ぶっ続けで踊れるわけではないのでぶらぶらしたり日向で昼寝しながらお目当ての人に向かうスタイル。爆音で音がなるのでどこに行っても音楽はなくならない。そのためかフロアでも休憩場所でもドラッグを決めている者が多かった。ソフトもハードももちろん持ち込みは禁止なのだがどこでも漂う大麻臭。気の良さそうなご年配も夫婦で大麻を吸っていたので、年季が入ってるのかなと思ったり。この人たちはヒッピー世代を経験してるのでなおさら。「吸うか?」と友達が誘われていたけど断っていたw ぶっとんで攻撃的になる者はいなくてみんな音を、雰囲気を楽しんでいたようだったのが印象的。若者から年配までキメる社会のエッジがここに。

最後はVitalicのライブとCarl CoxのDJで〆る。Vitalicは唯一エレクトロサウンドを全面に出した構成で、最新のアルバムから数曲ライブをしていた。会場はロケット花火が飛んだりと演出も良かった。ハードな曲とエモい曲どちらも気持ちがよくあっという間の90分だった。ベストアクトはVitalicと言いたい。アムステルダムから30分という緑あふれる立地で、著名なアーティストを集めるイベントの魅力にとりつかれた人の気持ちがわかる。食事やドリンク代はそこまで高くないので、チケ代が高騰する国内フェスもいいが、資金を上乗せして旅行とセットにしたフェスの方が満足度もコスパもいいように思う。僕自身、非常に満足できる内容だった。そのため下半身の披露がとんでもないw

16 アムステルダム: fablabの城、デザインギャラリーdroog hotel、アーティスト村NDSM

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16日目はアムステルダム、宿泊先のハーレムから電車で15分のれば中心地までいける。あいにく天気がすぐれず肌寒い。七月目前で17度前後は想定外だったのでパーカーを買いにH&Mへ駆け込む。こうした時はジェントリフィケーションさまさまである。準備も整いまず向かったのはfablab Amsterdamだ。ここは城を改装しており、二・三階をラボとワークショップスペースとしている。城を改装する、というところで感動してしまう。オープンラボでなかったが、ヘルスケアに関するスタートアップワークショップが開催されるため中にはいることができた。中にいる人に話を聞くことができ、先週開かれたというランプシェードワークショップの成果品を見せてもらう。

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そこから歩いて15分ほどの距離にあるdroog hotelへ。一階にはショップ、二階にはギャラリーとカフェ、三階にホテルとなっている。一階のショップには伝説級のプロダクトが展示、販売されている。それらは触ることはできないが撮影と購入ができる。当然購入する資金はないので写真におさめ、ワキワキして帰るだけ(´・_・`) 二回のギャラリーにはフェアデザインというテーマでラグが展示してあった。

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いったん中央駅まで戻りフェリーに乗り対岸へ。NDSMまで歩いて向かう。これが一時間と思ったより遠かったのでバスで行くことをオススメします。中央駅から出ていて105とか394あたりだったはずです。事前にオランダ、アムステルダムで撮影されたドキュメンタリー"Creativity and Capitalist City"で予習していったのだが、規模のでかさに驚かされる。200人が「住む」このアーティストビレッジにはアーティストだけでなくデザイナーや建築家らのスタジオもある。多様なクリエイティブクラスが集まり、それぞれの活動をしている様は非常にワクワクする。DIYで拡張更新を続けるこの場所から生まれる文化に期待せずにいられない。いずれ友人らと再びここを訪れたい、その時一緒にことを起こそうと伝えようと思う。

15 バーゼルから20分くらい、VitraCampusは建築家の動物園

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15日目は朝からドイツとスイスの国境境にある家具メーカーVitraに向けて出発。シュツットガルトから約三時間かけて、駅からさらに20分ほど歩くと到着。バスでも行けるけど歩きたかった。エントランスに向かうまで、安藤忠雄フランク・O・ゲーリー、H&deMが設計した建物が見えてくる。この時点で興奮するw

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12時から始まる英語のツアーにVitraMuseumで申し込む。ミュージアム入場料と合わせて14€だ。ツアーはVitraCampusの歴史から始まり、それぞれの建築が立てられた背景と建築家らが目指したことがそれぞれ紹介される。苦労話がやはり面白くて、ゲーリーはミュージアムをメタルで覆いたかったけど予算の都合で外装材は塗りになった。これにゲーリーが驚いたのは、その材料はアメリカでは高級だったからだ。それならメタルの方が安いと訴えるも、欧州では安価な材料のためそれで決定したという、地域差を感じる。

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SANAA設計の工場は、カーテンのようにアクリルが湾曲した外装材で覆われ、シザ設計の倉庫は赤レンガだ。安藤さんとザハはコンクリートで、鋼板で覆われた建築もありそれぞれが独立して個性を持っている。あとから設計する人は敬意を持って次の建築を立てているそうだがその狭間はどうも怪しいw ガイドさんの話によると、設計者の選定はCEOによる一任で、設計要項はあるもののデザイン自体はお任せらしい。代替わりで続くメーカーなのでどこまでマインドが継続されているのか、今後はどうしていくのか興味がある。

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ツアーガイドが終わってからは、ルイス・カーンの展示をミュージアムで見て、ViraHausで家具を見て、レンゾ・ピアノのモバイルハウスを見てとしていたらあっという間に帰りの時間となっていた。VitraHausは戸建住宅の断面をモチーフにしているけれど、スケールが1.2-1.5倍くらいありそうで、広々として展示スペースはプランがスッキリしているのが印象的だった。眺めもいいし、いい家具に座ってぼーっとしてるのも楽しい。ここは一日過ごせる場所なので行く人は余裕を持ったスケジュールを立てた方がいいです。