読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

建築☓合宿2009 感想

09/03/22から09/03/28までワークショップ、建築合宿09に参加してきました。
関西の1,2年生の大学生と一部専門学生のワークショップです。学生主体のワークショップで、今年で5年目だそうです。1週間で出された課題をグループ設計していきます。1グループ4,5人で形成されており、14グループあった。

今年の最終ジュリストさんは藤村龍至さんと谷尻誠さんでした。
ちなみに、中間ジュリストさんは松岡聡さん、柳原 照弘さん、笹岡周平さん、矢田朝士さん。エスキースはdot architectの家成 俊勝さん、大東 翼さん、赤代 武志さん、木村松本建築設計事務所の木村吉成さん、松本尚子さんでした。皆さんありがとうございました。

今年のテーマは「革命」

近年、学生が自身の大学内での教育などに疑問を感じており、自由な発想で作品をつくることが出来ない現状がある。その中で、元来の観念などにとらわれず、広い視野でのものづくりに対する考え方を養う。他人との出会いは様々な刺激を産み、インテリアやプロダクト関係の人にも意見を聞き、
建築を建築で終わらせる事の無い様にする。グループで作品を作る過程で生じる様々な意見や考え方の衝突により、学生は自身での建築に対する内的革命を起こすのである。

とのこと。
そこで出された課題というのがこちら。

住宅を超える=超住宅
住宅という枠組みの中で、なにを考え、なにを実現するべきか。
それは、形態なのか、機能なのか、設備なのか、光なのか、音なのか、様々な住宅に関わる要素を、再度見つめ直すことで、これからの住宅を期待する。

さらに文章は原則、手順の説明へと続く。

<原則>
最初にルールを示します。これに従って下さい。
1. Do NOT Jump ジャンプするな
2. Do NOT Imagine 想像するな
3. Do NOT Look Back 後戻りするな

<手順>
具体的には、毎日最低1個以上の模型をつくり、全ての模型を保存して下さい。
模型は建物だけではなく、敷地のカタチでベースをつくって下さい。
模型には制作順に通し番号を付けて下さい。
作成した日付、時刻、関わった名前をベースの裏に記入して下さい。

つくった模型を囲んで、チームのみんなで修正点をひとつだけ決めて下さい。
それを修正して、次の模型をつくって下さい。
模型が完成したら、そのたびに
(1)前回から何を改善し、
(2)そこから今回、どんな問題を発見し、
(3)次回、何をするのか、
文章にしてその文章をポストイットに書き出して、模型に貼っておくと効果的です。
以上の作業を素早く繰り返して下さい。

まず、つまらない案をつくります。
最初は要求された面積をヴォリュームにして下さい。それが第1案です。
第1案をもとに、内部のプランニングを考えて下さい。それが第2案です。
第2案をもとに、窓を考えて下さい。それが第3案です。
第3案をもとに、屋根を考えて下さい。それが第4案です。
第4案をもとに、素材を考えて下さい。それが第5案です。
第5案をもとに、庭を考えて下さい。それが第6案です。
そこから、進化させて下さい。第10案くらいが目標です。

はっきり言って、一読した程度では何が何だか理解できなかった。
たいていのこういった設計課題では「○○な住宅」とわりと具体的なテーマ設定がされているのだが、今回はあまりにも抽象的。「住宅を超える住宅」ロジック的にもおかしい。。建築設計においてセオリーであろうコンセプトの設定をしない。周辺のコンテクストを読むにも情報が少ない。僕を含む多くの学生はこのことが理解できなかった。

そのため、初日は模型材料を買いに行くところと、この設計プロセスに対して議論し始める班が多かった。僕らの班はヴォリューム決定に至るためのコンセプトを議論していた。つまらない案とは何か、つまらない住宅とは何かを初日はずっと話していた。

その結果、多くの人々が納得している現在の住宅に批判的に新たな住宅を設計することは難しいと思い、新たな機能を付加することで超住宅を目指した。ところが、この時点で今課題で求められていることから反れているとはその時は思いもしなかった。

翌日からコンセプトにもとずくヴォリュームの決定、プランの設定をした。この時、僕らは第3案の窓を考えているところまで行っているつもりだった。三日目の中間公表に向けてプレゼンシートの作成、模型のスタディを繰り返した。三日目、中間発表を行った。僕らは中盤だったので前半の班を見ていた。ジュリストの方々は口をそろえて

「その方法もいいが、この課題にはのっとっていない。まずは藤村君の求めている手法に則ってみてはどうだ?」

僕らも同様のことを言われた。さらに、「何も言うことはない。」とまで。さすがにショックでプレゼン終了後1時間ほど教室の外で気持ちを整理せずには居られなかった。

中間講評後、個別のエスキースと交流会。
僕らは話し合い、ゼロから再スタートすることにした。もう一度はじめから、愚直に求められている手法に則って建築していくことにした。そのため、この手法についてジュリストさんに問いただした。これはどう進めていくのか、何を求めているのか。僕らの質問にきちんと答えてくれた皆さんに感謝したい。他の班も同様に質問しているようだったのでそばで聞く耳を立てて、何を質問し、どう返答されているかに注意していた。当然ジュリストさんもこの手法で設計しているわけではないのに、真剣に答えてもらえました。聞くところによると、この課題が出た時、ジュリストさんが集まって一度話し合ったとか。オツカレサマデス

エスキース終了後、もう一度ヴォリュームを決定するところから始めた。もうあまり時間が足りない。あえてチームを2グループに分けて、ヴォリュームからヴォリュームを決めるグループと周囲の環境からヴォリュームを決める班に分けて行っていった。僕は前者にいたのだが、朝までに30個を超えるヴォリュームのスタディをしていた。朝5時まで考えて、ヴォリュームから決めていった班のアイディアを通した。

それがこれ。

僕らの班はヴォリュームの持つ特性を徹底的に洗いざらい、その個性を生かすヴォリュームに決定した。まず、敷地に建蔽率60%のヴォリュームを置き、そこからそのヴォリュームはどのような個性を持っているのか、問題点ならどう改善すべきかを議論し、ヴォリュームに生かしていった。重々しく、圧迫感のあるヴォリュームとい個性を生かすべく、図のように分棟型に分けることで通路が生まれる。このヴォリュームはいわゆる路地のような場所性を有する。すると、重々しく圧迫感のあることはマイナス要素ではなくプラス要素となる。といった具合にこのヴォリュームは決まった。

この時、使った手法を。

模型を作ってそれの特徴をポストイットに書き出してボードに貼る。改善形を作る。同様にポストイット。矢印を引っ張る。これを繰りえして一番伸びたものがより特徴を伸ばした形故に決定する。
こうすることで客観的に改善を見れるし、フィードバックも楽である。

次にプランニングに移る。

[最終案]
プランニングに関してもプロセスは同じだ。ボード&ポストイットとスタディ模型。このヴォリュームを生かしたプランニングにすること。ゾーニングで各部屋のを機能決定し、そのプランニングの改善点をひたすら上げていく。それをスタディ模型として徹底的に作る。そこから得られるものを生かし次のステディへ。分棟型ゆえに下駄箱は各個室に設けてある。そのためLDKは土足で上がれるようになっている。路地的空間を生かすため、あえて動線は長めにとってある。この時点で残りの時間が6時間程度だったと思う。制限時間故上記画像で最終決定し、次は開口のスタディへ。


[最終案ファサード]

[最終案鳥瞰図]
ファアードに大きな開口をあけてみてどのような結果が生まれるか。それを解決するためにどのような開口にしていくのか。ヴォリュームとプランニングの個性を損なうことなく決定する。プロセスはこれまで同様。模型→考察→修正→模型・・・。制限時間到達で上記画像で決定。ここで残り2,3時間。本模型を作りつつ屋根のスタディヘ



[最終案鳥瞰図]

[最終案採光予想]

今までの段階でリビングの採光が少ないことがわかった。ここに屋根をいじることで採光を取り入れることに。大穴をあけたところ直射日光が落ちるのでダブルルーバーで柔らかに光を取り入れることに。ヴォリュームの持つ特性を考えた結果フラットルーフで落ち着き、屋根の開口も以上のようになった。ここで本模型と並行していたため提出時間の9時になった。

僕はヴォリューム以降はプレゼンシートの作成をしており、時々模型組に意見を出す形をとっていた。その結果、客観的に物事を進められたのではないかと思う。また、僕も進行を見せることで意見をもらってシートを作っていった。

今回シートを作る上で注意していたことがある。それは今回の課題のプレゼンの仕方である。従来のプレゼンであれば「○○というコンセプトをもとにこのような建築を設計しました。」という形が望ましいのだろうが、今課題はどういったプロセスをたどったかが重要視される。そのため、途中経過をはしょってしまっては意味がないのだ。つまり、対お施主さんではなく、対建築家のプレゼンをやろうと思った。そのために、大きな一枚絵は排除し、そのプロセスをなるべく細かに載せた。大きな画像でないので見にくいが過程をたどってるんだな、ということが分かれば良しとします。


[プレゼンシート01]

[プレゼンシート02]

[プレゼンシート03]

データ提出後は使用していた近代の製図室の掃除を行い、食事へ行って13時のプレゼンまで仮眠をとった。仮眠をとったというより、疲れと満腹でいつのまにか寝ていた。ほぼ毎日3時間程度しか寝ていないので大学の課題よりハードな1週間だった。

13時からは予定を変更し、先に谷尻さん・藤村さんのレクチャーが始まった。谷尻さんは「はじめて考えるときのように」といった物事の考え方をDESIGN TIDE 2008や先日の平和大橋のコンペとともに紹介されていました。藤村さんはBUILDING KとUTSUWAを元に批判的工学主義、超線形設計プロセスについてご説明されました。このレクチャーを聞いて思ったことは、「初日に聞いていればもっといいものができたかもしれないのに!」ということでした。これはあとから周りの学生に聞いてみたところ誰もが思ったことのようでしたw

さて、レクチャーもそこそこにプレゼンが始まります。僕らの班は恐れも多くオオトリなので、何を発表し、何を言われているのかを緊張しながら聞いていました。中には完成を求めるため、このプロセスを捨てているところもありました。逆にこのプロセスに悩みすぎたためにヴォリュームで止まっていたりと本当に様々でした。

一番突っ込まれていたのは

「このプロセスを辿ったらこれができました。ではなく、きちんとコンセプトを立てなさい。」

とのことでした。

これについては多くの学生が悩んでいました。つまり、冒頭の原則事項のイメージするなやジャンプするなという点からコンセプトを立てることはいけないことだと思っていたからです。この考え方のずれが今回のワークショップ最大の壁であったように思います。このズレは講評者⇔学生だけでなく、講評者⇔講評者間にもあったのでより理解が難しかったです。僕らの班は途中からコンセプトとなる「路地的な空間」を発見したためよかったのですが、他の班はそこについて言及している班はなかったと思いました。

そうこうしているうちに僕らの班の番となりました。以前の班が言われていることに注意しながら自分たちの班の伝えたいことを4分という時間内にコンパクトにまとめてなんとか話せたと思います。藤村さんからはプレゼンシートから進行が線形ではないのでは?との指摘を受けました。これは僕の見せ方の失敗がありました。実際はフィードバックなどにより線形をたどっているのですが、そこの矢印を書くとごちゃごちゃしてしまうがために省いてしまったのです。

しかし、着眼点などには評価を頂けました。逆に、谷尻さんはシートの見せ方、プレゼンの仕方について評価を頂けました。「デザイン・広告業界のプレゼンみたいだ。」との言葉を頂きました。たまたま僕はこの春にデザイン・広告業界の本をよく読んでいたのですが、まさか言い当てられるとは思いませんでした。終了後、エスキースに来てくださった方や中間講評をしてくださった先生方にもお話を伺ったところ、同様の評価を頂けました。短い期間にメンバー一同での努力が評価されてとてもうれしかったです。中間のプレゼンでは失敗してしまったため、それを取り戻せたような気がしました。

プレゼン終了後は学生、先生方含む一同で打ち上げをしました。この1週間の疲れを吹っ飛ばすほど楽しい飲み会でした。松本木村の木村さんが「本当は来る予定なかったんだけど、あの後みんながどう変化を遂げたのかが気になったから来ました」とおっしゃってたのが印象的でした。僕もそう思っていたのですが、自分たちでも予想がつかないような進化がそれぞれの班に見られたからです。僕らもまさかあのようなものができるとは当初は思いもしませんでした。それだけやりきった感があったからこそ多くの参加者がこのワークショップの楽しさに気が付いていたと思います。他にもたくさんの方々とお話ししたのですが、時間内に全ての方々と話すことができなかったのがとても残念です。
建築が好きで仕方がない人間が集まっているので当然でしょうが、話がつきません。あっというまに2時間たっていました。終電間近となったため、飲み会の場から去りました。

このようにとても大変ながら考えることが多かったワークショップを体験できてとてもうれしく思います。実行委員会のみなさん、講評に来てくださった先生方、参加したメンバー本当にありがとうございました。また来年どうように面白いワークショップとなるよう心より応援しております。

最後に、読者の皆様、長文でしたが最後まで御精読ありがとうございました。

────────────────

藤村龍至さんがご自身のブログに建築合宿の記事を書かれていましたのでそれの紹介でこの日記を締めくくらさせていただきます。

roundabout journal
関西で「設計とは何か」について考える
http://www.round-about.org/2009/03/post_90.html