アリマツーケット開催のお知らせ

f:id:pnch:20200130225822j:image


2020.3.22 @有松天満社一帯
アリマツーケット開催決定✨
おたからに触れるアリマツアーも企画🚩
https://www.instagram.com/arimatsuket/

 

であう × まなぶ × ひらめく
ものづくり文化に触れる体験型マーケット

 

アリマツーケットとは、有松天満社一帯を拠点に開催される、ものづくり文化に触れる体験型マーケットです。


ものづくりのまちとして栄えた有松には、日用品からお宝に至るまで、たくさんの「生きた美術品」が残っています。各地から集まるものつくる出店者らや、有松の産地・お宝ツアーやワークショップなど、ものづくり文化に触れ、学び、刺激される体験型のマーケットをおこないます。


2019年度 有松絞りまつりで、シュシュブライダルが実施した本企画を引き継ぎ、日常的に親子間・近隣住民の交流を促す「場」として、有松天満社の活用を目指しています。

 

本企画は、『2019年度 日本遺産魅力発信推進事業』の一環としておこなわれます。

 

日 時|2020.3.22 Sun.10:00-16:00
会 場|有松天満社一帯
住 所|愛知県名古屋市緑区鳴海町米塚10
主 催|ありまつ中心家守会社
協 力|有松天満社文嶺講、有松・鳴海絞会館、シュシュブライダル、ほっこり公園ほか
ウェブ|https://arimatsu-ket.com

出 店|かずcoがcoffeeと旅をする。/とんかつ家 比呂野/ウノ ダイサク/CAFE FLOW/STUDIO.725/THE CUPS/fate8/Fuligoshed × Ittel jewelry/fairy/27cakes/masco polo./nine9drop/Bonheur/J'aime/つるかごや/make my day/岩嶋屋/Retlile /BETSEY ROOM/ハチカフェ/LULU makana ほか

 

 


絞り染めの着物+体験+浴衣の即売会
おたからめぐり アリマツアー🤩
要申込・人数制限あり!

 

アリマツーケットのメインコンテンツとして、有松にたくさん残るおたから(まち並み、着物、体験ほか)を巡る「おたからめぐり アリマツアー」を企画します。
有松の長い歴史を持つ商店をめぐり、普段は目にすることができないような有松・鳴海絞りの貴重な着物をガイド付きで見て回ります。絞り染め体験から職人の高い技術を学び、有松・鳴海絞りの浴衣を展示販売いたします。
ぜひご参加ください。

 

【おたから体験プラン】
内 容|有松・鳴海絞りの着物を中心に、絞りのお店であつかう最高級なお宝を2軒めぐります。手ぬぐいの絞り染め体験を通じて、長い歴史で培われた技法や職人の技術力について学びます。希望者はプラン体験後に、特別限定の浴衣展示販売会へご参加ください。

 

参加費|3,000円(税込)/人
人 数|各5組程度
時 間|10:30-11:45、13:15-14:30、14:00-15:15
会 場|@有松天満社集合→おたからツアー 2軒→絞り染め体験@有松・鳴海絞会館

備考|ご参加いただく方は、歩きやすい服装でお越しください。絞り染め体験では、染料を使いますので、汚れてもいい服装、またはエプロンなどをお持ちいただくと安心です。小学生以下のお子さんは無料です。

 

【申し込み】
こちらのリンクよりご予約ください👇
おたからめぐり アリマツアー | Peatix

13:15以降の参加については当日、会場に受付も承ります。

その他、不明な点はメール(info@armt.jp)よりお問い合わせください。

ミニレポ『日本遺産のまち 有松の未来を考えよう Day.1』

今日は有松でまち歩きWSです。半数は地域の方らしく、半数は有松に興味を持っている方々とのこと。どんな声が聞こえてくるのか。WSの企画は愛学の村田尚生准教授です。運営をまちづくりの会からありまつ家守へ委託されました。主催は有松日本遺産実行委員会事務局、企画運営を有松まちづくりの会が担当しています。年度内に今日を含めて3回、まちあるき→ワールドカフェ→30年後に向けたディスカッションとのことです。

はじまりのあいさつ。2016年の重伝建、2019年の日本遺産選定を受け、内外から有松に人を呼び入れるような仕組みを考えるきっかけとして、WSを実施します。30年後を見据えて地域資源や課題の発見を目的としています。愛知学院大学の村田准教授。今日のまち歩きでは、五感で得られた情報を、写真と一言コメントを添えて、instagramへ #有松の未来 に投稿してもらいたい。振り返りの際に話し合うタネとします。

まち歩きは「ありまつあないびとの会」のみなさんが、①絞り、②祭り、③まちなみの3コースを案内します。まちなみコース。東海道五十三次に描かれたまちなみが残る有松。火災がきっかけで塗籠造などのしっくいが特徴です。祭りコース。山車を展示している山車会館。山車は10人ほどで動かすことができるが、季節の祭礼では50mの綱があり、200人が参加できるようになっている。絞りコース。絞り会館では、職人の手捌きを見ることができる。蜘蛛の巣のような柄が特徴の手蜘蛛絞りの実践中。かつては、丁稚や親族が集まり、みんなでくくりの作業をおこなう風景がみられた。
f:id:pnch:20200126215621j:plainf:id:pnch:20200126215635j:plain

インスタ+Lineのオープンチャットにまち歩きの写真アップし、これから「地域の宝」について話をしていきます。まずは竹田会長からの挨拶、そしてまち歩き振り返りの進行は村田准教授が。多くの方が利用しているラインが情報共有のインフラに。写真をアップすることで時間切れでした。街の未来を考えるヒントとして、4つのポイントを村田准教授から説明。
f:id:pnch:20200126215647j:plain

次回は2020/2/22にワールドカフェ形式で意見交換とのこと。40名を超える参加者からどれくらいの人が継続参加してくれるのかがポイントですね。本事業は文化庁が実施する日本遺産の日本遺産魅力発信推進事業の一環として、協議会が主体となっています。今年度の成果を取りまとめ、次年度はさらに具体化するプログラムを予定しています。
f:id:pnch:20200126215501j:plain

まちづくりと法律

2019年、名古屋市歴史観光拠点のひとつとして、有松・桶狭間の整備に力を入れている。その背景には2016年に重要伝統建造物群保存地区(以下、重伝建)選定、2019年の日本遺産認定が挙げられる。どちらも文化財保護の観点から整備されてきたが、今では観光資源としての側面が高まってきている。そのため、文部科学省が管轄する文化財保護、国交省の観光まちづくり、さらには経済産業省の地域商業活性化などをまたがり、文化や科学技術の振興を担う文科省が所轄していることに微妙な違和感を感じるようになった。

 

それもそのはず、それぞれで所轄が違うということは、法律も違うし、対象も違う。具体的には、文化財保護法、改正都市計画法中心市街地活性化法をまたがるようになっている。有松が直面する課題〈エリア人口の高齢化、目的地不足、プレイヤー不足など〉は、先の三省庁に加えてに厚労省も入ってくるようだ。つまり、僕たちが有松でおこなう活動とは、横串を挿すことが求められている。

 

各省庁から愛知県、そして名古屋市から各部署へと降りてくる中で、どうやらまだ連携が難しいことがわかってきた。仕組みの問題だけでなく、人の問題もある。これは行政の問題だけじゃなく、有松にも課題があることは言うまでもない。僕たちは創造的に法を解釈して、人や組織をつなぎ合わせる事業を提案するしかない。日本遺産の補助金が降りている今、小さな実験を始めたい。

 

 

大学時代は法律について学んだ記憶がないことを今さら後悔しても仕方ないので、少しずつ入門書、専門書を読んで理解をしていこうと思います。

 

f:id:pnch:20200113005011j:image

戦略的に小さくはじめてみることから〜デザインの実践を通じて

まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では春が訪れています。

この時期はどこもかしこも「年度末までの案件」が飛び交い、補助金事業を行っている方々に関連してデザイナーたちもドタバタしている季節です。

終わりの季節はどこもバタバタで落ち着いて考えるヒマがないまま次年度に突入していくことが往々にしてあるかと思います。

僕が事務所を構える名古屋市・有松は、2017年に採択された補助金事業によって観光案内所の運営を行っています。

例に漏れることなく、次年度の動き出しについて、行政・民間・地域の人々が大きな舵取りができないまま終わりの時期を迎えているように思います。

昨年の説明会で何度も聞いてきた「自走化」という言葉すら最近では聞かなくなってしました。

www.instagram.com
勝手に始めてやろうとしていたニュー観光

スポットライトは当てられているが

歴史観光という枠組みの中で桶狭間と有松は、名古屋城や熱田に次ぐ観光エリアとして位置づけられており、名古屋市やマスメディアにも取り上げられることが増えてきました。

しかし、紋切り型の「絞りという営み」と「江戸時代から続く街並み」ばかりが取り上げられ、現代の生活とのズレや古民家活用の課題に触れることなく流されてしまう現状に悲しくなることがしばしば…。

少子高齢化や伝統産業・線産業の縮小、遊休不動産の活用、イノベーション人材の育成など、日本全体が抱える大きな課題との接続がなされることなく、桃源郷のように語られていては何も変わりません。

スポットライトの影に隠れている不都合な真実を乗り越えていくためにも、にわかな盛り上がりを冷静に取られてその先にどのような生活を描くのか実践してみることが求められているように思います。

光の先にある「何か」を見つけるために

私たちは2014年からARIMATSU PORTAL; PROJECTとして、「関係と環境」に着目した小さな実践を試みてきました。

歴史や土地だけでなく、産地特有のさまざまな資源を有したエリアではあるものの、歴史を重ねたまち特有のタッチポイントの少なさが課題のまちです。

また、絞り産業と生活の距離も少しずつ離れていき、これからどのような暮らしが可能なのかを考えられる機会もあまり多くありません。

重伝建決定となる前後で、この地を訪れる人たちが主体的にどのようにまちへ関わろうとしているのか。また、私たちが間借りする、現在一部が観光案内所となっている「山田薬局」をどのように活用できると考えているかを投げかけるために、「ごえんの投票」という投票方のメディアを設置しました。

1ヶ月近く設置したところ、「遊びたい」と「暮らしたい」が同率一位となり、次の投票では「飲食店」や「雑貨店」が上位に来る結果となりました。

半径2kmでおさまる有松で遊びたいと思ってもその目的地が少ないこと、暮らしたいと思っていても現存の商屋が大きすぎるのではないかという課題が浮き彫りになったのです。

そこでAPPメンバーのひとりでデザイナーの武村さんは実験的に、観光案内所が開いている週末に合わせて土間でポップアップストアを始め、地域の人からの応援や訪れる人が物珍しそうに眺めていく状況を生み出すことになりました。

現在は諸事情があってポップアップストアは閉店してしまっていますが、案内所で働くパートの方々を筆頭に、近隣の方からも小さなアクションを起こすことを前向きにとらえてくれる人が出てきています。

www.instagram.com
設置していたごえんの投票

www.instagram.com
一時的に僕が作ったモルタルの棚も置いてもらっていて、イベントに合わせて3つほど購入してもらえました

戦略的な小さなアクションを次にどう繋げるか

名古屋市が委託する観光案内事業は、経済文化交流局の部署によるものです。

重伝建は歴史まちづくりがリードしてきた街並み保全から始まっていますが、こちらはソフトに力を入れる部署のため、案内所やお土産開発には力を入れることはできます。

しかし、有り余る遊休不動産の活用は都市住宅マターで、さらに公共空間の活用は土木や緑地公園マター。

国道や鉄道に挟まれているこのエリアでは交通戦略も非常に重要なため、必然的に部署横断をしながら規制緩和や事業支援をする必要があります。

民間は行政をリードして活用する事業計画やこれからのライフスタイルを描くことが求められていますが、まだまだ小さな動きに留まっています。

私たちはAPPの活動を通じて有松が持つポテンシャルを「つくりながら暮らすこと」を実践できることに見い出しています。

素材や人材が揃うこのまちにおいて、つくることはファン・コミュニティの醸成だけでなく、産業都市・愛知のこれからの生活像を描くことにもつながると考えられます。

バーチャルな交流に留まらない実際に手を動かしながらつくることは、次の課題や可能性をより具体的にしていくトリガーとなる。

これこそが重要な視点であり、今、始めていかなければいけないことではないでしょうか。

「30」という数字をもとに実践してみる

有松というエリアの30年後を見据えてこの活動を行うために、私は「30」という数字が重要だと考えています。

・活力のある「30」歳台を筆頭に
・活動の中心となる「30」人の人びととともに
・徒歩「30」分圏内から
・目的地となる「30」箇所の魅力的な場を創出し
・1サイクル「30」ヶ月で情報発信を続けていく

活動を通じて見えてきた具体的なミッションを進めながら、「つくりながら暮らす」ビジョンの実現に向けて取り組みを始めていくことを今は考えています。

不安な未来予測ばかりが目立つ現代ではありますが、ひとつひとつのステップを細かく見ていくと乗り越えていく可能性を見い出すことが私たちはできるはずです。

そのためにも行政や民間問わず協力体制を築き、新しいことを慣用して後押しする関係と環境を育むことができるか。

デザイン単体による取り組みの影響力は小さく見えるかもしれませんが、巻き込むプラットフォームを少しずつ広げていく力を持っていると私は信じています。

エリアの自走化に向けた取り組みが、これから訪れるであろう大きな課題と真摯に向き合い、未来の暮らしを築いていくことにつながることを期待しています。

f:id:pnch:20180212211503j:plain

生きる糧と生きる術を生み出すクリエイティビティ

「なぜ?なに?どうして?」は、デザインリサーチャーの口ぐせだ。さまざまな活動の裏側にある「動機」や「本質」を捉えるためには、イエス/ノーでは答えられないオープンエンドな質問を繰り返すことを徹底的に行うことが求められる。学術的にデザインリサーチの歴史は文化人類学的なアプローチを援用することで文脈の理解を推し進められる。時には無邪気な子どものように、眼光鋭い警察のように。「うーん、、」と唸りながらも、普段は言葉にしない無意識の中にある思いをひとつひとつとらえて言葉にするインタビュイーは、まるで「丸裸にされる思いだった」と調査の経験を振り返る人もいれば、「よくぞ聞いてくれた!」と饒舌に人に知られぬ経験を話すこともある。

 

「関係と環境」を起点に始まった活動

先日、お声がけいただいた、「近代建築再生スクール 「旧田内織布 母屋」LE:レクチャー vol.4」では、「まちマネージメント」の視点について有松での活動をお話しさせていただいた。デザインリサーチャー/サービスデザイナーとしての活動を背景に、まだ3年程度しか行っていないゲリラ的な活動「ARIMATSU PORTAL; PROJECT(APP)」を事例に、どんなビジョンを掲げて、誰を対象にどんなアクションをしてきたかを振り返り、そして、今後どんな展開を想像しているかという構造だ。APPの発足当初は、伝統工芸が色濃く残るまちへのタッチポイントがわかりづらいこと、また、関わりを継続的な活動につなげる入り口が見えづらいことを課題としてとらえてきた。有松以外ですでに地域と密接に関わりながら活動を行うクリエイターらをお呼びし、その活動についてお話を伺うことから有松でなにができるか模索することから始まった。登壇者らは地域への熱心な思いとユニークな着眼点もさることながら、さまざまなアプローチによって熱量が徐々に広がり、まちへと参画するパブリックマインドが伝播していることが学び取れた。

 

まちの固有性である流動性×人的資源を再び

デザイナーや建築家の友人らで行うAPPでは、ゲストらの活動事例を参考にしつつ、トークイベントからワークショップや展示、そして草の根的なコミュニティデザインへと展開を進めていった。絞り染色におけるつくる行為とネットワーキングに着目したデジファブワークショップ、地域のオリジナリティを再定義することを目指した「誰のための有松絞り展」や「有松をうばえ!展」、さらに遊休不動産の活用を目指したポップアップショップなどを行うなかで、地域内外の人たちとのつながりや思いを広く共有していくことになった。これらの活動を進めていくなかで、重要伝統建造物群保存地区認定に伴う観光地化への動きが行政を中心に加速していくなかで、我々が間借りする古民家の一部は名古屋市の観光案内所となり、地域内外の声に触れる機会もさらに増えていった。私たちは果たしてどのような暮らしをこのエリアで目指していくのかという議論が過熱していく。地域に多数いる熱心な勉強家や活動者たちと触れ合うなかで、暮らしや産業が隆盛していくときに、出入りする人々が多数いたことや地域内外のつながりや流動性が大きく寄与していくことがわかった。翻って現在の有松を注意深く観察すると、流入人口は増えているものの、大きなインフラに囲まれているものの通り抜け交通として利用されていたり、繊維産業の衰退に伴うコミュニティの縮小、目的地となる商店や飲食店がどんどん少なくなっていることが目についた。改めて、まちの原資に立ち戻り、この流動性と人的資源をどのように獲得できるだろうか。我々が実践すべき次の課題はここにあるように思う。

 

生活スタイルとの建物スケールの乖離に悩まされて

APPでは、「ごえんの投票」を通じて当事者としてどのようにまちへと参画するか投げかけるとともに、それ自体がメディアとして参画を促す仕組みを実践した。「有松でしたいこと」と「古民家で実践したいこと」というテーマで2回の掲示を行うと、遊びたいと暮らしたいが初回は上位に上がり、次の掲示では飲食店と雑貨屋が上位に並んだ。観光地としての認識がやはり強まっている一方で、目的地の少なさに目をつける人々が多くいることがうかがい知れる。また、古民家の暮らしに憧れを抱く層がいることが分かったが、投票をしている人や地域で生活をする人へ聞き取りを行うと「誰に相談すると良いのかわからない」という声に加え、「暮らすには(かつての商屋)大きすぎる」という声も多数得られた。遊休不動産を所有する一部の人たちや町並み保存を応援する人々もまた、貸したいけれどこの課題の前に頭を悩ましているようだ。現代の生活スタイルと建築スケールに乖離があることは想像に難くないが、この地、この建物で行える新たな生活スタイルの提案には至っていない。こうした課題は全国各地の遊休不動産に頭を抱える地域で起きており、その解決方法のひとつとして、エリアマネジメントとして遊休不動産活用を行う現代版家守が注目を浴びている。

 

つくりながら暮らすビジョン獲得に向けて

APPが草の根的なまちへの介入を行う中で、眼前にそびえる大きな課題に直面し、それがまた関係と環境を改善する可能性を秘めていることがわかってきた。しかし、この小さな個人活動の限界も同時に直面しており、再び活動を見直さなければならない時期に来ていると感じている。これまでは活発なクリエイターとその想いに共感する人々を中心に活動を行ってきたが、新たなライフスタイルを有松で実現したいと思える人たちを直視しなければならないということだ。そして、その人たちとともに実現するひとつのビジョンとして、私は「つくりながら暮らすこと」を掲げていきたいと考えている。つくるという行為、それ自体がまちへの参画とコミュニティ醸成のきっかけになることは、これまでのワークショップからも実感しており、昨今のメイカームーブメントからも可能性を強く感じている。さらに、遊休不動産活用による新たな事業創発や地域経済の活発化は、先に挙げた流動性と人的資源を高めるきっかけとして大いに期待することもできるだろう。

 

生きる糧と生きる術を生み出すクリエイティビティ

これまでの試みを通じてAPPは、目的と手段を獲得したクリエイターとの交流を通じて、まちへの参画を促す試みを学んできた。そして、実践してきたワークショップやポップアップショップ、さまざまな展示や実践知の共有は、「生きる術」としてのものづくりや事業運営のきっかけを、「生きる糧」としてこれからのライフスタイルを考える機会を創出してきたと言えるのではないだろうか。パブリックマインドをもつ地域の方々が新たな事業を起こそうと準備を始めていたり、半ば諦めかけていた遊休不動産の活用を実現しようとする不動産オーナーも徐々にではあるが生まれつつある。地域には術と糧を持つ人々ばかりがいるわけではないが、この境界を乗り越えるきっかけとしてクリエイティブが果たす役割はとても大きい。「なに?なぜ?どうして?」から始まった小さな活動から始まり、つくりながら暮らすビジョンの共有と実現に向けた具体的なミッションが見え始めた今、新たな試みを再び初めて行こうと機運が高まっていることを強く実感している。

 

armt.jp